日本スポーツ産業学会第31回大会 一般研究発表(3-1~4-3)

e スポーツファンのチーム・アイデンティフィケーションに関する研究
— 東京ヴェルディe スポーツ部門に着目して ―
発表者:鳥山 稔(至誠館大学)
共同研究者:佐々木 達也(城西大学)
キーワード:e スポーツ、チーム・アイデンティフィケーション、ファン、J リーグ
* Study on Team Identification of eSports Fans.
** MINORU TORIYAMA:Shiseikan University
*** TATSUYA SASAKI:Josai University
Key word: eSports, Team Identification, Fan, Jleague,

1.緒言
日本のe スポーツの市場規模は、2018 年は約 48 億円であったが、2020 年は約 67 億円となっており、日本における e スポーツの市場規模は年々拡大傾向にある。また、日本 e スポーツ連合は、2025 年に市場規模を 600~700 億円まで拡大させることを目標として掲げていることから、今後もe スポーツに対する注目度は益々高まることが予想される。
近年では、e スポーツをプロモーションや、集客戦略に用いるプロスポーツクラブが増加しており、e スポーツを積極的に活用し、若年層のファン獲得を目指した戦略を実施している。J2 リーグに所属している東京ヴェルディは、2016 年に「東京ヴェルディ e スポーツ部門」を設立した。e スポーツ部門の目的のひとつは、『フットボール部門のみではコミュニケーションが難しいターゲットとの接点とし、新たなファンやスポンサーの獲得を目指(東京ヴェルディ,2016)』すことであり、e スポーツを通して、より多くの人にフットボール部門に対して関心を持ってもらうことを狙いとしている。
東京ヴェルディ e スポーツ部門のファンの特性を明らかにし、e スポーツ部門との心理的な結び付きと、男子サッカー部門のスタジアム観戦意図との関係を明らかにすることが出来 れば、J リーグクラブが e スポーツ部門を持つことの優位性を明らかにすることが出来ると考えられる。

2.研究目的
本研究の目的は、J リーグチームである東京ヴェルディが設立した e スポーツ部門のファンを対象に、①e スポーツ部門を応援しているファンの特性を理解すること②e スポーツ部門を応援しているファンのチーム・アイデンティフィケーションを明らかにすることⒸe スポーツ部門のチーム・アイデンティフィケーションが、男子サッカー部門の試合をスタジアム で観戦する意図に及ぼす影響を明らかにすることである。

3.方法概要
1)調査方法
調査は Google フォームを用いたオンライン調査を実施した。東京ヴェルディ e スポーツ部門公式 SNS を使い、Google フォームのURL を配信し協力を求めた。有効回答数は 117 部であった。
2) 調査項目
基本的属性(性別、年齢、現在住んでいる都道府県)、東京ヴェルディ男子サッカー部門関連項目(応援度、応援歴、ファンクラブ加入の有無、スタジアム観戦意図)、東京ヴェルディe スポーツ部門関連項目(e スポーツ実施頻度、応援度、試合視聴頻度、選手配信視聴頻度、試合視聴意図、チーム・アイデンティフィケーション)、自由記述である。e スポーツ部門のチーム・アイデンティフィケーション(以下、eTI)の測定は、「全くそう思わない」から「非常にそう思う」の 7 段階で測定した。
3) 分析方法
最初に、e スポーツ部門を応援している人を対象に、eTI の信頼性分析を行った。その後、eTI を説明変数、男子サッカー部門スタジアム観戦意図を目的変数とした重回帰分析を行った。

4.結果
分析の結果、e スポーツのみを応援している人は全体の 17.1%(n=20)、e スポーツ部門、男子サッカー部門の両方を応援している人は全体の 56.4%(n=66)、男子サッカー部門のみを応援している人は全体の 18.8%(n=22)であった。無関心層は 7.7%(n=9)であった。また、e スポーツ部門の方が応援歴の長い人は全体の 25.9%(n=28)、両部門を同時期に応援し始めた人は全体の 4.6%(n=5)、男子サッカー部門の方が応援歴の長い人は全体の 69.4%(n=75)であった。
次に、クロンバックのα係数により、eTI の信頼性を検討した。その結果、「行動的関与」以外の 5 つの変数において基準値を上回った。その後、基準値を上回った 5 つの変数を用いて、eTI を説明変数、男子サッカー部門スタジアム観戦意図を目的変数とした重回帰分析を行った。その結果、男子サッカー部門スタジアム観戦意図へは、「心理的結びつき」のみが正の影響を及ぼすことが明らかとなった。

5.考察
クロンバックのα係数を用いた信頼性分析の結果より、「行動的関与」を除く 5 つの変数において基準値を上回る結果を示した。東京ヴェルディの e スポーツ部門では、グッズの販売を行っていないため、「行動的関与」のグッズ購入に関する項目を事前に削除している。また、活動の多くはオンライン上で行われるため、J リーグクラブのように試合運営のボランティアは募集していない。これらの影響により、「行動的関与」のみ先行研究とは異なる結果を示した可能性が考えられる。
次に、重回帰分析を実施した結果、eTI の「心理的な結びつき」のみが、男子サッカー部門のスタジアム観戦意図に正の影響を及ぼすことが明らかとなった。つまりは、e スポーツ部門を応援する人を増やし、愛着を持ってもらうことで、同ブランドの別種目である男子サッカー部門の観戦者を増加させることに繋がる可能性を示すことが出来たと言えるだろう。
今後は、eTI をどのように高めるか、eTI と観戦意図の間の媒介変数について検討していく必要があると考えられる。また、より多くの e スポーツ部門のファンから回答を収集するためにも、e スポーツ部門のオフラインイベントに来場した人を対象とした調査を実施することや、ノベルティを配布するなど、調査方法を見直す必要があると考えられる。


オリンピック・パラリンピック教育事業における教育効果の検証
-オリンピアン(体操競技)の講演を事例に-
発表者:久保賢志(至学館大学)
協同研究者:津吉哲士(大阪国際大学)
キーワード:教育効果、オリンピックムーブメント、体操競技
Verification of educational effects in the Olympic and Paralympic education projects -Case study of the Olympian (gymnastics) lecture-
 KUBO Kenji:Shigakkan University
 TSUYOSHI Satoshi:Osaka International University
Key word:Educational Effects, Olympic Movement, Gymnastics

【緒言】
スポーツ庁ではオリンピック・パラリンピック・ムーブメントを全国に波及し、2020 年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を成功させるための「オリンピック・ パラリンピック・ムーブメント全国展開事業」を学校教育の中に組み込み、全国各地の小中高校を対象に展開してきた。
オリンピック・パラリンピック・ムーブメント全国展開事業の教育推進校は、2016 年度から 2021 年度かけて 3,188 件にのぼる。また、これらの推進校によって、作成された実施報告書や実践事例集は、2020 年の東京大会を契機とした日本のオリンピック・パラリンピック教育に関する記録として活用され量的データとして重要な資料となっている。
一方で、これらの報告書や実践事例集は、テーマごとに実施概要や成果、課題が報 告されているものの、内容は簡略化され実際の教育効果を捉えきれていない部分があ るのではないかと考えられる。

【研究目的】
そこで本研究では、オリンピック・パラリンピック・ムーブメント全国展開事業の一環で実施したオリンピアンの講演会を事例に、一つの事業にどのような教育効果があるのかを検証することを目的とする。

【研究方法】
2021 年度オリンピック・パラリンピック教育推進事業の一環として実施した「体操競技オリンピアン A 氏の講演会」を受講した関西地区の S 高等学校の生徒 118 名に実施したアンケート調査を用いて教育効果を検証する。
なお、本研究における教育効果とは「教育を意図的、形式的に捉え、個人が教育によって合理的に近代的な意識や態度を身につけること」と捉える。

【結果】
「講演を聞いて、オリンピック・パラリンピックに興味を持ちましたか」の問いに 対して「ある程度興味を持った 43.2%(n=51)」、「非常に興味を持った 44.1%(n=52)」と両者を合わせて 87.3%(n=103)となった。
「講演を聞いてオリンピックやスポーツの価値を感じましたか」の質問では「ある程度感じた 30.5%(n=36)」、「非常に感じた 66.1%(n=78)」と合わせて 96.6%(n=114)となった。さらに両者のどちらかを選択した調査対象者に「どのような価値を感じたか」の質問では、敬意/リスペクト 70.3%(n=83)が最も多かった。
「講演を聞いて五輪やスポーツの教育的価値を感じましたか」の質問では「ある程 度感じた 41.5%(n=49)」、「非常に感じた 47.5%(n=56)」と両者を合わせて 89.0%
(n=105)と高い数値を示した。また両者のどちらかを選択した調査対象者に「どのような教育的価値を感じたか」の質問では、努力から得られる喜び 68.6%(n=81)、次いで他者への敬意 61.0%(n=72)となった。
「オリンピックに興味がある」、「オリンピックを視聴(観戦)したことがある」の質問が、「講演を聞いてオリンピック・パラリンピックに対して興味を持ちましたか」、
「講演を聞いてオリンピックやスポーツの価値を感じましたか」、「講演を聞いて五輪やスポーツの教育的価値を感じましたか」という質問にどの程度の相関があるかを分 析した。その結果、「オリンピックに興味がある」と「講演を聞いてオリンピック・パ ラリンピックに対して興味を持ちましたか」では相関係数 0.490、「オリンピックを視聴(観戦)したことがある」と「講演を聞いてオリンピックやスポーツの価値を感じ ましたか」では相関係数 0.427 といずれもやや相関が見られた。

【考察】
オリンピアンによる講演事業では、96.6%の受講者がオリンピックやスポーツの価値を感じ、89.0%が教育的価値を感じたと回答したことから、個人が教育によって合理的に近代的な意識や態度を身につけることができたと考えられる。またそれは、オリン ピックへの興味や視聴経験があればより高い効果を示すと捉えることができる。

参考文献;
市川昭午編(1987);教育の効果,東信堂.
オリンピック・パラリンピック・ムーブメント全国展開事業実践事例集(平成 29 年度~令和二年度),スポーツ庁.


コロナ禍にみる「体育会系神話」の変化*
発表者:束原 文郎(京都先端科学大学)**
キーワード***:体育会系神話,学生アスリート,新卒就職,コロナ禍
* The Changing “Student-athlete Myths” under the Corona Crisis
** Fumio TSUKAHARA (Kyoto University of Advanced Science)
*** Keywords: the Student-athlete Myth, student-athlete, 1st job search, Corona Crisis
1 束原文郎(2021)就職と体育会系神話.青弓社
2 宇都宮徹(2021)「2.5 万人の就活生が選ぶ 「就職人気ランキング」」東洋経済オンライン(2021 年 4 月
4 日付).https://toyokeizai.net/articles/-/420489(2022 年 2 月 28 日参照)

1.背景と目的 日本では,「体育会系学生は他に比して良い就職を得る」という「体育会系神話」がまことしやかに語られてきた.大正期に起源をもち,90 年代まではその存在を支持するような逸話が散見される体育会系神話だが,2000 年代に入ると大学教育がユニバーサル化し,学生アスリートの数が激増したことで転機を迎えた.すなわち,体育会系は「高威信大学」「伝統的チームスポ ーツ」「男性」を特徴とする「エリート体育会系」とその他の「ノンエリート体育会系」に分化し, 神話通りに就職で優位を得るのは前者のみとなったとされる1.その傾向がコロナ禍でも続いたの か.本報告は,体育会系神話の直近の趨勢について統計的に記述し,コロナ禍における変化を検討 するものである.

2.方法 体育会系学生の就活支援を手掛ける㈱アスリートプランニング(以下,AP)の協力を得, 2019 年 11 月~ 2021 年 1 月までの期間に AP が企画した体育会学生限定のキャリアイベント(合同企業説明会,エントリーシート作成講習会,等)に参加した全学生アスリートを対象に,オプトア ウト方式で実施された.
回答者は,総数 15,669 人(男性 10,402 人;女性 5,267 人)だった.重要な説明変数となる「GPA」
と「部・クラブの最高成績」に回答した 7,115 人(男性 4,731 人;女性 2,384 人)を有効サンプル(男性 45.5%;女性 45.3%)とした.この 7,115 サンプルを次の 3 群に分けて,目的変数を設定した.すなわち,AP への内定報告がなされなかったX 群 4,694 人(男性 3,221 人;女性 1,473 人),AP に対し何らかの内定報告を行った回答者 2,421 人(男性 1,510 人;女性 911 人)のうち,人気企業ラン
キングTop 300 社2から内定を得たと特定できなかったY 群 1,928 人(男性 1,225 人;女性 703 人),および人気企業ランキングTop 300 社から内定を得たと特定できたZ 群 493 人(男性 285 人;女性208 人)である.この 3 群の分布を体育会学生の諸特徴によってどの程度説明できるか,多変量解析を用いて検討する.体育会学生の諸特徴とは,入学前に決まる属性的要素(性,大学設置者(国 公立/私立),専攻,大学威信ランク,入試方法),学業(GPA,ゼミ活動),競技(部・クラブの最高競技成績,部内競技力,チームスポーツ),両立状況(両立意識,両立実態),アルバイト(週平均日数,平均月収),就職活動(インターン社数,就活開始時期)である.

3.結果 個々の説明変数がX・Y・Z 群の分布とどのような関係にあるのか,クロス集計から確認した.Z 群は全体で 6.9%だが,男性 6.0%,女性 8.7%と,女性が男性を上回る結果となった(χ2 = 33.773,p < 0.001).その他,多くの説明変数が目的変数の分布と相関していた(クロス表は割愛).説明変数間の相関をコントロールした上でも影響力を保持する変数を見出すべく,多変量解析(二項ロジスティック回帰分析)を行った.二項ロジスティック回帰分析では,モデルⅠ:X 群 vs Y Z 群(内定報告なしvs あり),モデルⅡ:Y 群 vs Z 群(非 Top 300 社 vs Top 300 社)に加え,モデル
Ⅲ:男性 Y 群 vs 男性 Z 群,モデルⅣ:女性 Y 群 vs 女性 Z 群)という 4 つのモデルを検討した.
結果を下表に示した.その結果,コロナ禍の学生アスリートの就職活動において,男性の優位性 はないこと,大学威信ランクは依然として支配的な影響を及ぼすこと,男性では 大学やチームスポーツといった「所属」が影響力を示したが,女性では学業と競技,そしてその両 立状況など,「大学における活動への取り組み」が人気企業への就職に影響を及ぼすこと,などが 観察された.

4.まとめ 2020 年度の体育会学生に限っては,男性に比べて女性の方が学業成績も良く,就職活動を早くから始め,より多くのインターンに参加し,人気企業からより高い確率で内定を獲得して いた.相対的に女性の方に大学での活動を充実させ,それをキャリア形成に繫げようという意欲と 行動が見られ,それが企業界から正当に評価されるようになってきていると解釈できる。これを, 属性依存型から持続的学習型への移行の端緒とみなせるか.もしそうだとすれば,教育の効果を証 明したい大学にとっても,生産性を上げたい企業にとっても歓迎すべき事態であると言えるだろう.

【文献】脚注参照.【附記】本報告は,JSPS  若手研究  (B: No. 17K18036,研究代表者:束原文郎)  および基盤研究   (C: 22K11512,研究代表者: 束原文郎) の研究成果の一部である.(株) アスリートプランニングの協力に謝意を表します.


東京オリンピックにおける男子サッカー競技の登録選手の分析*
発表者:井上俊也(大妻女子大学)**
キーワード:オリンピックのサッカー 登録選手 ²1 歳以下欧州選手権
* The analysis of squad of men’s football at the 2020 Olympics
** INOUE Toshiya : OTSUMA Women’s University
Key Words : Eootball at Olympics, squad, UEEA European Under–²1 Championship

【緒言】
オリンピックは、1984 年のロスアンジェルス大会から商業面で大きな変革を遂げ、 その象徴が男子サッカーである。年齢制限を設けてプロ選手が出場し、多くの観客動員を誇り、オリンピックの商業的成功を支え、他の競技でのプロ選手の出場を誘引した。 オリンピックにおいては花形競技、サッカーの世界では最も高い年代別の世界大会であ る。しかし、東京大会では、所属クラブが欧州のシーズン直前に行われるオリンピック に選手を派遣しないケース、フル代表の大会との連戦の回避というケースがあり、登録 選手の多くは予選時とは異なり、ベストメンバーとは程遠いチームもあった。オリンピ ックの花形種目だけではなく「最もワールドカップに近い年代別の世界大会」という位 置づけに揺るぎはないか、という問題意識から研究に着手した。

【研究の目的】
東京オリンピック男子サッカーの登録選手の予選での登録状況、他国際大会での登録状況、所属クラブでの出場状況を分析し、オリンピックにおける男子サッカーが花形競技、最もワールドカップに近い年代別の世界大会にふさわしいかを検証し、今後の大会のあり方について提言する。

【研究の方法】
東京オリンピック男子サッカーの登録選手(16 か国、各国 ²3 人、オーバーエイジ枠3 人)について各大陸別予選時の登録状況を分析する。開催国として出場権を獲得している日本も予選を兼ねたアジア地区の大会に出場しているため、そのデータを利用する。
予選大会に登録しながら本大会では登録されなかった選手についてその理由を分析する。通常の場合は、順調に成長せず、他のメンバーの台頭もあり、オリンピックチームから外れるケースが考えられるが、それ以外の下記の 3 つの理由で外れた選手に着目する。これらの理由は欧州特有のものであるため、欧州に重点を置いて分析する。
①選手として成功し、不可欠な存在となった所属チームの活動を優先した
②選手として成功し、フル代表に選ばれ、フル代表チームの活動を優先した
③予選と本大会とで出場資格が異なり、年齢制限で本大会に出場できない

【結果】
出場 16 か国すべてがオーバーエイジ枠を利用し、ほとんどの国は 3 人を使い切り、年齢制限のある選手数は²0 人から ²² 人となった。また、予選から本大会までに監督が交代した国が² か国あった。
このうち過半数が予選に登録していたのは 7 か国にとどまり、そのうち ² か国は各大陸の中で唯一予選を延期して本大会の 4 か月前に行った北中米カリブ海地区のホンジュラス(14 人)とメキシコ(1² 人)である。他に過半数を超えたのは韓国(16 人)、
エジプト(15 人)、サウジアラビア、コートジボワール(13 人)、アルゼンチン(11 人) とアジア、アフリカに集中した。逆に予選登録者が少なかったのはフランス(3 人)、
ドイツ(5 人)、ルーマニア(6 人)と欧州に集中した。
欧州で予選を兼ねた²019 年の²1 歳以下欧州選手権の年齢制限は 1996 年 1 月 1 日以降出生であり、本大会の 1997 年 1 月 1 日以降出生と 1 年のギャップがあった。予選の時点で本大会の登録資格がなかった 1996 年生まれの選手はスペイン 9 人(うち² 人はオーバーエイジ枠で復活)、ドイツ 10 人、フランス 5 人、ルーマニア 5 人であった。欧州予選に登録された各国 ²3 人のうち、予選後にフル代表入りした選手は、スペイン 4 人、ドイツ 6 人、フランス 6 人、ルーマニア 6 人いたが、このうち本大会に出場したの
は 3 人(うち 1 人はオーバーエイジ枠)だけであった。また、欧州では予選後に国外のクラブに移籍するケースは多かったが、オリンピック本大会時に国外のクラブに所属し ていた選手でオリンピックに登録された選手は欧州 4 か国で 35 人中 ² 人だけだった。

【考察】
各クラブ、代表チームとの日程の競合によって欧州の出場国は大きな影響を受けた。 オリンピック予選を兼ねた²019 年の²1 歳以下の欧州選手権における 1996 年生まれの選手の数は² 年後の ²0²1 年大会における 1998 年生まれの選手の数より少なく、オリンピック予選をある程度意識した選手選考となっていた。しかし、現実として、欧州では多くのクラブがオリンピック閉幕とともに開幕するシーズンを重視し、オリンピックへ の選手の派遣を拒否した。オリンピックの直前に欧州選手権に開催されたことも選手の疲労を望まない各クラブの判断を後押した。国外のクラブからの選手招集は少なく、国内クラブの選手中心の編成となった。準優勝したスペインのみが、欧州選手権に出場した選手を登録したが、ターンオーバー制の確立したビッグクラブの所属が多かった。

【結論】
欧州の出場国においてはオリンピック代表チームの編成に苦労し、ベストメンバーではなかった。オリンピックのサッカー競技がワールドカップに次ぐ最も年齢の高い年代別の世界大会と言えるチームを派遣できなかった。オーバーエイジ枠についても欧州、南米の国では一流選手は出場しなかった。欧州のクラブに人材の集中が進むことから、他の大陸の国でも、これらは今後想定されることである。ワールドカップに最も近いプロ選手も出場する年代別の世界大会という位置づけを見直す必要がある。


アスリートのQOL 向上の施策*
―メンタルヘルスマネジメントの視点から―
発表者: 永田 靖 (大阪産業大学)**
キーワード: アスリート フェミテック メンタルヘルス QOL
* Measures to improve the QOL of athletes -From the perspective of mental health management-
** NAGATA Yasushi:OSAKA SANGYOU University
Key word:Athlete, Femtech, Mental Health, Quality Of Life

1.目的
感染症の蔓延は多くのアスリートのメンタルに影響を与えている。実際,トップアスリ ートは挫折感を味わうことなく現在に至るケースが多い。また,自身のプライドが邪魔し
「心の不調」に気づかず,今なお根付いている「根性論」に依拠する行動によって自己の肯定に努めるが,パフォーマンスの向上に至らないことがある。かつ,ライバルであるチ ームメンバーや家族に心配をかけたくないということで,自身での解消を目指し「心の不調」は悪化する傾向にある。
一方,海外のトップリーグにおいても,「メンタルケア」の必要性が重視され,取り組みが進んでいる。しかし,日本においては精神科への受診は「敷居」が高く,ホームドクタ ーとして受診する海外との文化の違いにより,さらに悪化の一歩をたどっている。
また,小中高大ではスポーツ競技のスキルに関してのイジメが生じるきっかけになるこ とが多く,トップアスリートだけではなく,「心の不調」への対応は裾野が広がっており, 早期対応による社会問題解消につなげることが喫緊の課題となっている。当該課題の解消 は,極めて学際的であり日本におけるアプローチは確立されていない。

2.課題の抽出
◆ 女性アスリートが輝く社会は魅力的である。しかし,
◆ 女性特有の諸問題(Femtech)等の女性の参加障壁を軽減することでスポーツ競技人口 の増加を企図し,心身の安定により最高のパフォーマンスを発揮させる必要がある。 さらに,
◆ 食事・サプリメントは自分に合っているのか,食育や栄養指導の必要性が生じている。

3.考察と検証手法
①女性特有の課題を軽減され,女性競技人口は増大しているか。
②女性の競技パフォーマンスは向上しているか。
女性特有の課題を抽出し,サポートに対して被験者のアンケート調査を行い,パフォーマンス評価を行うことで定性的および定量的評価が可能
① -A:女性をスポーツコンテンツを活用し総合的にプロデュース
② -B:輝く女性の創出
※検証結果の予測
A:社会保障費の削減
B:女性中心の消費動向による経済浮揚

4.結論
◆諸外国に比し,ようやく日本国内でも女性に関する特有課題に目を向けられ始めた。しかし,個々での取り組みが多く長期にわたると企業の疲弊が散見される。
◆ 企業の参画はコンソーシアム型として,企業間の新たなコラボの促進や,当該目的以外での企業の活性化も望まれる。
◆本プロジェクトの目的は,女性が輝く社会の創出であり,トレンドや消費をリードする女性の活性化は低迷する経済への起爆剤になると考えられる。
◆ 女性の支援はアスリート層,フリンジ層,富裕層,更には男性層にも広く展開されること は容易に推察でき,総じてスポーツ競技人口の拡大につながる。
◆ 新たなプラットフォームは現存の点在するビジネスを集約するだけであり,新たなビジネ ス機会が生じ,協働・参画する全員の幸福度が向上すると考えられる。

 

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