2011〜2022年のスポーツ産業の経済規模
スポーツ産業を測る㉞
2011〜2022年のスポーツ産業の経済規模
同志社大学スポーツ健康科学部准教授 庄子博人
株式会社日本政策投資銀行産業調査部は、「わが国スポーツ産業の経済規模推計 日本版スポーツサテライトアカウント2011-2022推計」を公表し、同レポートにおいて2011〜2022年のスポーツ産業の経済規模を明らかにしています。
本稿では、スポーツGDP,スポーツ生産額,スポーツ総供給の3つの指標で2011-2022年の推移を紹介したいと思います。いずれの指標も、この12年間で一貫した増加傾向を示しており、日本のスポーツ産業が長期的に拡大してきたことが確認できます。
①スポーツGDP
スポーツGDPとは、「スポーツ関連の財・サービスの取引で生まれた付加価値の合計額」のことであり、実際の計算はスポーツ関連の財・サービスそのものである「スポーツ部門GDP」と、「スポーツ部門」の上流の産業である「投入部門GDP」、そして「スポーツ部門」の財・サービスを顧客まで届ける運輸や商業にあたる「流通部門GDP」の3部門の合計として計算されます。
②スポーツ生産額
スポーツ生産額とは、「スポーツ関連の財・サービスの国内生産の合計額」のことで、スポーツGDPと違うのは、付加価値だけでなく付加価値を生み出すための経費にあたる費用もプラスされていることです。また、実際の計算は、スポーツ関連の財・サービスである「スポーツ部門の生産額」と、その生産物を顧客まで届ける運輸や商業にあたる「流通部門の生産額」の合計として計算されます。
③スポーツ総供給
スポーツ総供給とは、②のスポーツ生産額に「スポーツに関連する財・サービスの輸入額」をプラスした概念で、輸入品も含んだ国内市場で取引されるスポーツ関連の財・サービスの全ての総和のことです。全ての取引を含む概念ですので、スポーツ市場規模と言っても差し支えないでしょう。実際の計算は、スポーツ関連輸入品の額を集計しているのではなく、スポーツ生産額の値を元に産業連関表を用いて推計しています。なお、総供給額は、常に総需要額と一致しますので、国内市場のスポーツ関連の財・サービスの需要の大きさと捉えることもできます。
スポーツGDPは2011年の7.3兆円から2022年には10.3兆円へと増加しており、約40%の成長、CAGR(年平均成長率)はプラス3.2%となりました。コロナ禍の2020年には一度マイナス7.00%の落ちこみをするものの、2021年には2019年と同程度まで回復し、2022年は過去最高の10兆円の大台に到達しています。スポーツGDPがGDPに占める割合は、2011年は1.46%だったところ2022年には1.81%に割合を増加させており、国内産業に占めるスポーツ産業のインパクトが大きくなっていることが読み取れます。
次に、スポーツ生産額は、2011年の 9.5兆円 から 2022年には 14.0兆円 へと大幅に拡大しています。スポーツGDPと同様に、2020年にはコロナ禍により一時的に 8.9兆円へ減少したものの、翌年にはすぐに回復傾向へ転じ、2022年には過去最大値を更新しています。
スポーツ総供給は、2011年の9.9兆円から2022年には15.5兆円に拡大しました。スポーツGDPや生産額と同様に、2020年にはコロナ禍の影響で落ち込みが見られますが、2021・2022年には急速に回復し、2022年には過去最大の15.5兆円に達しています。これは2011年からの12年間でスポーツ市場規模全体が1.5〜1.6倍程度に大きくなったことを示しています。
参考文献 わが国スポーツ産業の経済規模推計 日本版スポーツサテライトアカウント2011〜2022年推計,2025,株式会社日本政策投資銀行産業調査部.



