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表彰式で笑顔を見せる参加者と岡田武史氏

8月17日から19日、愛媛県今治市で今年で3回目となる「Bari Challenge University (バリチャレンジユニバーシティ)」と題したワークショップが開催された。瀬戸内の美しい島並を望む今治港の会場には全国から応募した高校生以上の若者50名ほどが集結。元日本代表監督でサッカーのFC今治オーナー・岡田武史氏を中心とした各界の講師陣のアドバイスのもと、3日間にわたって「スポーツの力でどうやって活力に満ち、人が集まってくる街にするか」という課題に取り組んだ。
筆者も学生として議論に参加し、出身地や年齢、参加目的も多様な初対面のメンバー7人でスポーツで今治を元気する方法を考え、提言をまとめた。無論、3日間でアドバイザーたちを唸らせるアイデアをひねり出すのは容易なことではない。中間発表会では及第点に遠く及ばず、厳しい指摘を受けた。それでも、夜遅くまで会場に残り眠い目をこすりながらもがき苦しんで出した成果を最終発表する頃には、メンバーたちは自分の意見を積極的に発言できるように成長していた。筆者の班のメンバーである今治市在住の高校生は今回のワークショップを通じて、「地元の子供たちに多様な考え方に触れる機会をより多く作りたい」という夢を持つまでになったという。
3年目となったこのワークショップは、その場限りで終わる単なるイベントにとどまらない。一期生から全ての卒業生が参加できるOBOGの会があり、全国から来た参加者たちが地元に戻った後もコミュニティが維持される。講師達の前で発表した企画を実際に行動に移した卒業生もいる。さらには現在、今治に倣った「チャレンジユニバーシティ運動」を全国へ展開する計画も検討されていると聞く。スポーツ界に留まらず、「若きチャレンジャーたち」を生み育てようとするFC今治の取り組みが評価され始めている証だろう。今回私もこのプログラムに参加して、日本のスポーツそのものの可能性を感じることができた。岡田氏が率いるFC今治の「リスクを恐れてはいけない」というミッションを一つの羅針盤とし船出する若者たち。夢の実現へ向けた彼らの大いなる航海は、ここ今治から始まる。
文・写真│伊勢采萌子

今治のホームグラウンドにて岡田氏の話に熱心に耳を傾ける参加者たち

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