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試合後ポーズをとるマレーシアのフィギュア選手たち

アラブ首長国連邦のザーラ・ラリ選手(右)

札幌で第8回となる冬季アジア大会が開かれた。雪や氷と縁のない国が多いアジアで冬季大会を開く意味は当初疑問視されていた。アジアでスキーやスケートができるのは日本の他には中国、韓国、北朝鮮、それにカザフスタンぐらいしかないからだ。しかし札幌で開かれた大会はその懸念を払拭したようだ。
フィギュアスケートではインドネシア、フィリピン、マレーシア、タイなどが続々と参加し たのである。いずれも雪も氷も関係ない国の選手たちだ。女子シングルで日本選手に次いで5位に入賞したのは赤道直下にあるシンガポールの選手だった。
バナナや椰子の繁るこれらの国のいったいどこで練習しているのか聞いてみると、大型ショッピングセンターの中にあるアイスリンクで一般の客に混ざって稽古するのだと言う。フィリピンでは同じリンクでアイスホッケーの選手までもが練習するそうだ。日中韓などと技術で差はあるが、冬季競技で大きな国際大会に出られて本当に嬉しいと選手たちは口を揃えて言う。
熱帯という自然環境以外の障壁がある国もある。謹厳なイスラムの国であるアラブ首長国連邦の女子フィギュア選手は、手と顔以外は布で髪の毛まですっぽり覆って氷上を舞った。肌の露出を禁じたイスラムの教えに従った衣装なのだ。それでも身体の線が露わだと国民からインターネットで攻撃されることもあると言うが、自分が先駆者になると いう彼女の強い意思は変わらない。
今回のアジア大会は参加国の気候だけではなく選手の気持ちも「熱い」大会だった。
▶藤原庸介

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