スポーツ庁ビジネス便り

スポーツ庁ビジネス便り
由良英雄│文部科学省スポーツ庁参事官

体育の日をスポーツの日に改称する法律の検討も作業が進んでいます。スポーツ基本法の理念を実現していくため、より幅広い意味でスポーツを楽しむ環境の充実に取り組みます。スポーツ庁の取組は、スポーツ庁フェースブック(https: //www.facebook.com/japansportsagency/)で発信しています。最新のアップデート情報をチェックしてください。

日本版NCAA創設に向けた学産官連携協議会を9月28日に発足

大学スポーツの振興に関する検討会議で議論を進めてきた大学スポーツの充実について、改革を具体化するため、協議会を発足しました。大学学長、学生、企業、文部科学省など幅広い関係者が参集するシンポジウム形式の総会でのスタートです。
(1)全ての参加者が協議会の一員
この協議会は、誰か限られた人が議論するだけではなく広く認識共有していくため、敢えて協議会メンバーを特定せず、総会参加者全て、あるいはこれから協議会の議論に対して意見を寄せて頂く全ての方が協議会の一員であるとしている点が極めて特徴的です。
(2)3つのワーキンググループ
安全・安心WG、学業充実WG、マネジメントWGの3つのWGを設けて具体的な提案をまとめていきます。進捗は今後詳報します。
(3)大学スポーツ・アドミニストレーターの設置のため8大学にスポーツ庁予算
人材輩出、学外への貢献などの潜在力を発揮していくため、今般、多数の大学のご提案の中から筑波大学、早稲田大学、順天堂大学、日本体育大学、青山学院大学、立命館大学、大阪体育大学、鹿屋体育大学の8大学にモデル形成事業に取り組んで頂くこととなりました。
各大学がそれぞれ提案頂いた取組を進め、事例とし
て報告します。全国の多くの大学においても、取組が進むことを期待しています。平成30年度予算でも概算要求を進めます。

米国NCAAのマーク・エマート会長が林芳正文部科学大臣を表敬訪問

(1)意見交換会など
米国NCAAのマーク・エマート会長が来日されました。筑波大学永田恭介学長の声掛けで、20を超える国内の大学の学長、理事長等がエマート会長との意見交換会を行いました。筑波大学との大学スポーツに関する共同研究を行い、会長来日のアレンジをされたテンプル大学ジョーダン准教授、ドーム社安田秀一社長らとのパネルディスカッションも開催されました。
(2) 「協力を惜しまない」
エマート会長は、林芳正文部科学大臣を表敬訪問し、日本版NCAAについても意見交換を行いました。エマート会長は、日本においては日本の現状に合った組織、取組を発展させていくべきとしつつ、米国の取組が参考になる部分は情報提供を惜しまないと約束頂きました。
(3)2018米総会の参加者を募集予定
米国NCAAが毎年開催している総会Convention が、来年は2018年1月17日からインディアナ州インディアナポリスで開催される予定です。日本からの関係者の来訪を歓迎するとのことですので、スポーツ庁では国内で希望者を募って参加することを検討しています。
JSTARプロジェクトに1,300人が応募
昨年策定した「競技力強化のための今後の支援方針
(鈴木プラン)」で提起されたアスリート発掘に取り組むため、「ジャパン・ライジング・スター・プロジェクト」を開始しました(本誌長官インタビュー参照)。
中学生・高校生などの希望者の身体能力の測定を行い、水泳(飛込)、ボート、ウェイトリフティング、ハンドボール、7人制ラグビー(女子)、車いすフェンシングなど選手の募集を希望する競技団体に、当該競技に適した候補者を推薦します。今年11月頃から約1年間実際にそれぞれの競技のトレーニングを行い、適性の見極めを進めることになっています。

NTCとJISSによるハイパフォーマンスセンターが強化戦略を推進中

日本スポーツ振興センター( JSC)と日本オリンピック委員会( JOC)が東京赤羽地区で展開するナショナルトレーニングセンター(NTC)と国立スポーツ科学センター
( JISS)を一体的に「ハイパフォーマンスセンター」と総称しています。以下の3つの機能を強化し、2020年及びその先の2024 年を目指したアスリート強化を進めます。
(1) アスリート・データセンター
トップアスリートのメディカル、トレーニング、競技映像、栄養などの各種情報を一元管理。
(2) スポーツ技術・開発センター
競技用具の機能を向上させる技術等を開発するための体制を整備。
(3) スポーツ・インテリジェンスセンター
世界的な競争の中で、各国のメダル獲得戦略、選手強化方法等を研究分析。

スタジアム・アリーナ改革のプロジェクトとして4つの地域協議会の開催を支援

未来投資戦略2017を受けて、民間資金を活用したスタジアム・アリーナ整備のための資金調達ガイドラインを策定し、活用できるIT技術のケースなどとともに取りまとめたガイドブックを提供中です。
今般、具体的な個別プロジェクトの形成支援案件として、石川県金沢、滋賀県大津、茨城県つくば、大阪市長居の4つの地域における地域協議会の開催を支援し、立地場所、整備方式、収支見込みなど具体的な検討を進めることととしました。現在今年度第二次募集も開始しました。

写真は、9月12日から幕張メッセで開催されたスタジアム・アリーナの整備をテーマとした大規模な展示会での一コマです。欧米からの専門家や企業を始め、関係者が日本におけるスポーツビジネスの進化に熱い視線を送っています。

スポーツ審議会に健康スポーツ、国際戦略の2部会を新設

スポーツ審議会は、本年3月に策定した第二期スポーツ基本計画を力強く推進していくため、当面以下の2分野について更に部会を設けて審議を進めることになりました。
(1) 健康スポーツ部会
スポーツ実施率を向上させていくための骨太な取組の構築を図ります。例えば、千葉大学の近藤克則先生が推進しておられるJAGESプロジェクトでは、スポーツ組織に参加して仲間と一緒にスポーツをすることが健康維持により効果的であるといったわかりやすいメッセージも発信されており、こうした医学的な知見もしっかり活用して、地域における施策推進の加速に取り組みます。
(2) 国際戦略部会
国際交流・協力の拡大のための戦略的な取組を組み立てます。今年は、7月にロシアのカザンで開催された第六回ユネスコスポーツ大臣会合(M INEPS)に松野前文部科学大臣が出席し、日本のスポーツを通した国際貢献事業やスポーツの高潔性の保護などを説明して議論をリードしました。また、10月には、日・ASEA Nスポーツ大臣会合も開催される予定です。こうした枠組を活用しつつ、スポーツ界における国際的な活動の拡大、外交、経済等の分野との連携を図ります。

 

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