沖縄アリーナにみるスポーツ観戦イノベーション

沖縄アリーナにみるスポーツ観戦イノベーション
山内 強│沖縄市役所・企画部参事兼プロジェクト推進室長

沖縄市は、沖縄県の本島の中部に位置しており、那覇市から北東に約20キロ、車で約40分程度のところにあります。
本市は、戦後、基地の門前街として栄えてきた街で、人もすれ違う事が難しいくらいに街に人が溢れ、賑わっておりましたが、近年は、近隣に大型の商業施設が整備され、西海岸地域にホテルの進出や商業施設も含めて開発が進んでいます。現在、沖縄は観光地として有名になっている一方で、本市は、ここ20~30年くらいは、閑散としてシャッター街と呼ばれるようになりました。
そのような中、平成26年に沖縄市長選挙があり、今回テーマとして掲げさせていただいているアリーナをつくって、アリーナに集まる人を中心市街地へと運び、それを街の活性化に繋げたいという公約を掲げた現市長が当選し、このアリーナの計画がスタートしました。

沖縄アリーナ構想の経緯

行政計画としては、まず基礎となる考え方として、基本構想を策定し、基本計画、基本設計、それから実施設計をして建設に移ります。本市のアリーナにつきましては、地域を活性化するアリーナというところで色々な宿題がございまして、それを解決するために、どのように計画していくのかというところが一番の課題でございました。
はじめに、アリーナを整備するにあたり、学識経験者、市内観光協会や商工会議所、体育協会、スポーツ関係者、イベント関係者等に集まって頂き、「アリーナとは何なのか」まずは、基本構想の策定に取り組ませていただきました。以前より、沖縄市は県内でも有数のスポーツを推進している市であり、「スポーツコンベンションシティ」を宣言してスポーツのまちづくりに取り組んでおります。
沖縄市内には、国体の会場として整備された沖縄県総合運動公園があり、陸上競技場や体育館等のスポーツ施設が充実しております。
また、沖縄市の総合運動公園にも、陸上競技場、野球場、体育館、武道場等、さまざまなスポーツ施設が揃っていますので、スポーツ施設については、他市町村に比べても充実しております。
その中で、「アリーナって何」というところで、アリーナをつくって街づくりをするという意味もなかなか通らなかったというのが最初の状況です。
そこで、実際にアリーナを利用している方も議論に加えた方が具体的な話が伺えると思い、当時bjリーグで活躍していた琉球ゴールデンキングス(現、Bリーグ1部)と、県内でコンサート等の企画運営を行なっているイベントプロモーターであるピーエム・エージェンシーを交えて議論をさせて頂きました。
検討委員会では、人口14万人の沖縄市に「1万人規模のアリーナが本当に必要なのか」「5,000人程度でいいのではないのか」「市民がこのアリーナをどうやって使うのか」など色々な課題が投げられました。そのような議論のなか、琉球ゴールデンキングスの木村代表が沖縄でバスケットボールチームを創設した時の話がありました。
当初キングスは、プロスポーツが根付いていない沖縄において相当厳しい状況でしたが、今では沖縄県の代表チームになっていると言う話をして頂き、課題が多かった議論も徐々に変化していき、地域活性化のためにこのアリーナは必要な施設ではないのかという議論に進むことができました。
委員会からは、「未来を創り、地域を活性化するアリーナ」という沖縄アリーナの基本構想のメインコンセプトが掲げられて、1)“バスケットボールを中心としたスポーツ興行を開催する観せる施設”、2)“各種コンサートやコンベンション等を開催する使いやすい施設”、3)市長公約でもあった“1万人規模のアリーナをつくる”、という3つの基本方針が皆さんの合意として形成され、それを基にアリーナの計画を進めていきました。

図1 基本構想概要図(イメージ)

そこから基本構想に基づいた設計を進めさせていただきました。図1は、基本構想時点のアリーナの概要図で、本来行政が計画をつくっていくとそれをそのまま踏襲した形で進めていきますが、この絵がどのように変わっていくかというのを今回皆さんにご説明いたします。
一方、日本再興戦略2016で、スポーツの成長産業化が位置付けられ、本市のアリーナの後押しになったところでございます。スタジアム・アリーナ改革指針が出されて、このスタジアム・アリーナ改革ガイドラインで掲げておりますスポーツの成長産業化や、収入を支えるという考え方、民間活力をしましょうという考え方を、本市も参考にさせていただきました。
ただ、国の方が考えられている基本的な考え方と、私ども末端の市町村が考えている考え方というのは、やはり多少の齟齬がございまして、それをどうやって私どもの考え方に入れていくかというところは、沖縄市としてはかなり大きな課題でございました。
その様な背景もあり、この計画を進めるために、当時、総務省から来て頂いた副市長を中心に、国とのパイプ役をして頂いて、この計画を進めていったという経緯がございます。

基本構想から全体計画(基本計画・基本設計)まで

基本構想策定後は、本来であれば基本計画を策定し、基本設計という段階が通例ではありますが、市長公約というところもございまして、任期が4年間しかないということ、この4年以内に何か形をつくらなければ次につながらないということもあり、基本計画と基本設計を一体的に全体計画として、進めさせていただきました。
一方、バスケットボール業界は、FIBAから日本のバスケットボールのあり方について疑義が出されており、Bリーグ発足に向け取り組まれ、Bリーグの参画要件として5,000人規模のアリーナを保有していること等の条件がありました。そのような背景もあり、沖縄市が1万人規模のアリーナを計画しているというところで、キングスが、沖縄市をホームタウンとして位置付けました。  本市としては、キングスがホームタウンになった事でキングスさんの話を取り入れながら、全体計画もやっていけるのだろうと、当初は考えておりました。
ただ、私どもがキングスさんから、「アリーナとはこういうものだよ」「お客様を喜ばせるためにはこういったところが必要なんだよ」というお話を聞いて、それを設計の方にお伝えしても、なかなか伝わらないし反映されない。先ほど基本構想の図面も見ていただきましたが、やはりどうしても体育館というものから、なかなか抜け切れないというところもございました。このまま進めていっても厳しいだろうということで、キングスを運営する沖縄バスケットボール(株)と監修契約をさせて頂き、アリーナを設計するに当たりアドバイザーとして入って頂きました。そこからは二人三脚という形で、実施設計にも関わって頂くという関係性で業務を進めさせていただくことになりました。
一方、理想論を追い求めていくと、建設費の高騰というところにはね返ってきました。構想から計画を進めるに当たり、「良いアリーナをつくっていこう」「こういったものは取り入れたほうがいい」というと、どうしても最終的な金額にはね返ってきます。私ども、小さな市ですので、予算が天井なしにあるわけではないですから、現実的な所を見据えながら全体計画が進められてきましたが、具体的な実施設計に行く前に、何か方策を考えなければいけないということで、情報を集めていく中で、当時、国交省がECI方式で空港等の大型の施設整備事業に取り組んでいることを知りました。

図2 全体計画に基づいた施工業者のラフ絵

このECI方式というのは、実施設計を行っている段階から、施工予定者を決めて、この施工予定者にコスト管理をしていただきながら設計を進めていくという方式です。これまで沖縄市、沖縄県でも、事例が無く、議会への説明・理解して頂く必要があり、総務省から来ていただいた副市長にも相談しながら、何とかこの方式を採用させていただくことになりました。
この全体計画を踏まえて新たな提案とコスト削減の提案をプロポーザルで公募させていただきまして、施工予定者のほうから全体計画を踏襲した形で、原案が出てまいりました。図2は施工予定者が当時、全体計画をもとに、こういった感じにすると地域活性化が図られるのではないのかというラフ絵になっています。沖縄市がただ設計を発注するだけではなく、施工予定者に設計の案も出して頂きながら、コスト管理の面で関わって頂きます。また、監修契約もさせていただいた沖縄バスケットボール(株)も、この設計に関わりますし、この設計者と施工予定者がかなり技術的な高いレベルのお話をされているので、私たち行政がそれを判断する知識も少ないものですから、CM業務(コンサルティングマネジメント方式)といった専門的な立場から沖縄市の立場になっていろいろアドバイスをして頂くという方法で、この業務を進めさせていただきました。

四角形から八角形へ

図3 基本構想段階の1階平面図(四角の座席配置)

基本構想から全体計画としていくことで、どういった議論をして、どういうふうに変化していったかというのを簡単にご説明させていただきたいと思います。図3は、基本構想のときの1階の図面になります。一般的に見る体育館の絵とあまり変わりないだろうなというふうに見られている方もいると思います。行政がやると大体このレベルだというふうに捉えてください。
私どもはアリーナの専門家でもありませんし、興行をしたこともございません。私ども行政としては、計画をつくったり、沖縄市のまちづくりをするというところは日ごろの業務の中からさせていただいていますが、設計というところに関してはやはり疎いのが現状でございます。その中で、この基本構想の図というのは、私どもが考えた図ではありますので、基本的にはこれをベースに話を進めていくのが通例でございますが、監修者や設計者、施工予定者、CM業者など、皆さんがいろいろな観点から見ていただいて、いろんな議論をさせていただきました。
一番最初に議論をさせていただいたのが、お客さんの目線です。アリーナというのは、スポーツ興行やコンサートなど、いろんなイベント興行ができる屋内の大型施設、やはりここがスタジアムやボールパークとは違うところだろうと。そこの最大のメリットを出すためにもやはりお客さんに楽しんでいただいて、その空間をどのように演出するかというのが重要で、この席の配置によってはいろんな付加価値というのが出てくるでしょう。
私どもの話の中で出ていたのは、基本的にはバスケットボールコートの縦のラインと横のラインを四角く囲むという一般的にありふれている座席の配置です。新たな付加価値というのはどのラインを見るんだという話になったときに、コートの隅の席に配置されている方の価値というのはどうなるのかというのを徹底的に議論させていただきました。ここの付加価値を高めることによってアリーナの価値も変わってくるのではないのかという議論が盛んに行われ、この四角のアリーナの形から、楕円形など、色々な形で議論をし、アメリカのアリーナの基本的な形から、全てのアリーナの図面を引っ張り出して研究させていただきました。
では、沖縄市としてはどんな形にするのか、空間設計をしている中で、この全てのお客様に臨場感を与えられる席の配置というのが一番重要だろうということで、沖縄市のアリーナについては八角形を基本に座席を組んで、そのアリーナを組み立てていくというところで議論がまとまりました。基本的にはそれを踏襲した形で空間設計をさせていただいて、最終的には図4に示すような形の全体計画になりました。

図4 全体計画段階の1階平面図(八角形の座席配置)

もともと基本構想の中では真四角のアリーナでした。それが全体計画、実施設計に至るに当たって、その骨格さえ変えていったというのがうちの挑戦でもあり、これができる環境を整えていただいたというところがこの計画が大きく進んでいった方向ではないのかなと考えております。

11トントラックが直接乗り入れる

コンサート業界やスポーツ業界といろいろ話をさせていただく中で、一番多かった意見というのが、準備と片づけをいかに効率よくするかによって、イベント興行の経費のかけ方が全く違うということ。何かやろうと思ったら準備と撤収にかなりコストがかかって、そこをうまく効率的にすることによって、イベント興行者としてはイベントがしやすくなる。
アリーナというのはお客さんに見ていただく施設ではありますが、そこで何が開催されるのか、それによってやはりアリーナの価値というのは大分変わっていくと思います。基本的には興行者が一番使いやすい施設、興行者や市民の方、観客の皆さんが両方の視点から使いやすい施設というのを追い求めていこうというところが最初のコンセプトで示されておりましたので、トラックが直接アリーナ内に乗り入れて、準備・片付けができ、Uターンすることなく出ていけるような仕組みに変えさせていただきました。
それによって座席数も変化しましたが、やはりスポーツ興行者やイベント興行者がメリットを感じてなければアリーナも使って頂けない。使って頂けなければ、アリーナに人が集まらない。人が集まらないということは地域の活性化にもつながらないという、結局何をやるにしてもやっぱり根本的なところをしっかりと組み立てていかなければ、地域の活性化につながらないということで、八角形の土台で、11トントラックが直接乗り入れできて、Uターンすることなく出ていけるような仕組みにしてほしいというコンサート業界からの要望をそのまま採用させていただいたところです。
次に、座席数の考え方です。イベントが行われた場合、座席数で一番価値がある席、2番目に価値がある席、3番目に価値がある席というのをランク分けしていくとどういったサービスの提供につながるのかというところもよく議論させていただきました。基本的には、イベント興行やスポーツ興行等イベントをした場合には1階のほうに舞台を設置しますので、舞台に近いところが一番いい席です。一番いい席でVIPの皆さん等、チケッティングの観点からも一番値段をとれるような席が構築できるでしょうと。そこからどんどん離れていくに従ってこのチケットの価値が下がっていく。この席の配置の仕方によってはチケッティングの考え方が変わり、チケッティングの考え方が即興行者の収益にも繋がっていくということです。 3階は1周全部スイートラウンジになっております。アメリカ等アリーナ先進国はスイートラウンジというのがかなり充実しており、このスイートラウンジが興行者の皆さんにはいろんな販売の仕方があって、収益につながって、そこに価値観が出せると言われています。逆にお客様からは、アリーナで多様で違った価値を体験でき、その視点から考えても、やはりスイートラウンジというのは必要だろうということで、当時全体計画のときには3階席は全てスイートラウンジにしようという計画にさせていただきました。

トイレへのこだわり

トイレについては、私どもかなりいろんな議論をさせていただきました。
例えば、アリーナで色々な興行が開催され、そこに花を添えるのは飲食や物販等、例えばビールを飲む方もいれば、ソフトドリンクを飲む方、ポップコーンを食べる方もいれば、焼き肉を食べる方もいて、アリーナ内でいろんな体験ができれば、それだけアリーナが楽しめる。それを楽しんでいただくためには、やはりトイレが渋滞して、トイレに行けないから飲み物を我慢しよう、食べ物を我慢しようというのが逆効果としてつながっていくわけです。だから、このトイレの充実というのは結局、最終的にはこのアリーナの運営や興行者の利益にもつながっていきます。
実際、イベント興行者、スポーツ興行者やコンサート業界の方に聞くと、コンサート等のイベントによっては女性が7 〜8割を占めるものもあり、その時のトイレの対応はどのよにしているのか話を伺うと、結局トイレの需要が追いつかなくて、男子トイレを女子トイレ専用に張り替えて、女子トイレとして使っているとの事でしたので、私たちも、限られた空間の中でこういったトイレを設置しないといけないということで、当初はそういった考え方で、議論させていただきました。このアリーナを利用していただくためには、女性というのは一つのキーになるなというところで、設計者も悩ませましたし、施工予定者も悩ませました。
ただ、このトイレについて徹底的にこだわったのは、やはりアリーナ運営にどうしてもはね返っていきますし、来ていただいたお客さんがここに来てイベントを見てよかった、美味しいものが食べられた、他では味わえなかった何かを体験していただきたいという思いもありましたので、ここにはこだわり、最後は、男子トイレの小便器プラス大便器の数よりも、女子トイレの数がそれ以上になるようにということで配置させていただきました。このようなところも踏まえて、図5がアリーナの実施設計のイメージ図になっております。

図5 実施設計のイメージ図

私どもは地域活性化を図るというところで、極端に言えば365日ここが人で賑わうような仕組みをどのようにつくるかというのは、当初からのテーマとして取り上げておりました。
例えばイベントを行う場合は、前日に準備をして、いくらトラックが入りやすく出やすいからといって、準備に最低1日、撤収にも1日、結局コンサートを土日やったとしても、金曜日に準備をして、土日イベントをして、月曜日に片づけ、結局金曜日と月曜日はこのアリーナが使えないという状態が出てきます。そこをいかに解決していくかというのが当初からキーワードでありまして、そこは施工予定者のほうが、小さなホール(ビルディング部分)を整備することによってこのアリーナの価値がもっと向上するのではないのかということで、最終的にはこのようなアリーナになっています。

防災拠点としての位置づけ

結局お客さんにどうやって楽しんでいただくかというところを中心に、なおかつ、イベント興行者がどうやって収益を得て、スポーツ産業として成り立っていけるかということを考え、この建設を進めさせていただいたところです。一方、アリーナをつくって、スポーツ興行だけでこのアリーナを設計してまかり通るのかというと、やはりそうではなく、このアリーナも、行政の施設ですから防災活動の拠点として位置づけております。例えば先ほど説明させていただいた、11トントラックが直接そのまま中に入っていけます。
このアリーナにつきましては、まだ決定ではありませんが、大規模災害が起きたときに、例えば支援物資が沖縄市に届きましたと。その支援物資が、沖縄の場合は災害といったら台風が多く、例えば雨風があるときに、外まで持ってきたけど、中に入れるときに雨風にさらされて使い物にならないということではなくて、このアリーナについてはトラックが直接中まで入っていけますので、基本的には災害時にも支援物資をそのまま中にまで入れることができるようにということで、この11トントラックが入ってきてそのままUターンすることなく出ていける仕組みというのを取り入れることで、ここにトラックの搬入・搬出の入り口がつけられます。
先ほど3階にVIP室を位置づけているという話をさせていただきましたが、そこについても、例えば災害時に妊産婦や高齢者等、一定のプライベート空間を確保したほうがいい方が一定程度いる私たちは考えておりまして、防災グッズの中で段ボールで壁をつくったりというプライベート空間をつくるというのも一つの手ではございますけど、アリーナの中に、3階に各部屋があるということはこういった災害時にプライベート空間を確保できる場所としても使えるとして、このVIP室の設置をご理解いただきました。
1階のラウンジについても、基本的にはここで飲食など、アリーナで開催される興行の付加価値を高めるために整備させていただきましたが、防災の観点からすると、災害時に、例えば非難されている方たちへ温かい食べ物をつくって届けるというのは、こういった調理設備や調理器具等がないとつくれないということを説明させていただいて、これが結局アリーナにするとラウンジに変わっていったというところで、行政的な意味合いも含めて、1つ1つ、このような意味合いの部屋も踏まえながら、イベント興行者や、こちらに来ていただいた人がいろんな価値を共有できるようなアリーナということで、その妥協点をいろんな角度から検証させていただいて、つくり上げていったというところでございます。

沖縄アリーナを核としたまちづくり

次の段階として、いろいろな意見を聞いていきたいということで、地域中核企業のローカルイノベーション事業という、経産省が行っている事業がございます。その中で、キングスと、アリーナ建設に市内業者として参入している建設業者、県内の印刷業者などの中核企業として選定されている業者を中心に、「沖縄アリーナを核としたまちづくりと地域振興」に関する議題をテーマとして、平成30年度からこのアリーナについて議論をしております。
沖縄市だけでなく沖縄県、スポーツ庁なども参加しており、この中で出ている話が、アリーナを使ったまちづくりということで、沖縄市がそもそも地域活性化をキーワードに上げていますので、このアリーナから沖縄市の中心市街地までの約2キロ、どうやって人を動かしていくのか、どうやって楽しんでいただけるのか、沖縄市に来ていただけるのかというところを、ハード・ソフト両面から議論を進めております。
中心市街地からアリーナまでの通りを「アリーナ通り」と設定して、そこを中心に商店街の皆さんにいろんな出店をして頂いたらどうかとか、沖縄は公共交通機関がなくて、どうしても駐車場の問題が出て、渋滞が予測されるので、県や国を中心に、どうやってこの渋滞解消をしていけるのかというテーマを、議論しているところです。こちらもこれから提案をいただいて、沖縄市としてできることをやっていこうというところで進めております。
ここでは、基本構想から全体計画と変わっていった変遷をご紹介させていただきましたけれど、私どもで考えさせていただくと、基本構想止まりです。だから四角いアリーナが多分できていたと思います。そこに民間の皆さんの知恵を入れて、八角形にしたり、トラックが直接搬入・搬出をして防災の拠点としても位置づけたり、このアリーナにはいろんな意味を込めてこの設計がここまででき上がってきております。現在、建築に入っています。そこからさらに色をつけていくというのは、やはりいろんな方のお知恵がないとなかなか進んでいかないのかなというところもあって、今回、現状として沖縄市はこういった感じで今取り組みを進めているという状況をお伝えし、皆さんからご意見をいただければということで、ご紹介させていただいたところでございます。

図7 実施設計における観戦イメージ図

▶︎本稿は、2019年11月12日に早稲田大学で行われたスポーツICT研究会の講演内容をまとめたものである。

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