2025年、東京でデフリンピック開催
倉野直紀
Naoki Kurano
一般財団法人全日本ろうあ連盟
デフリンピック運営委員会 事務局長
—— 2025年、東京でデフリンピック開催
日本初となるデフアスリートの国際スポーツ大会「デフリンピック」が2025年11月、東京都を中心に開催されます。1924年にパリで第1回大会が開催され、今回が100周年となる歴史に残る大会になります。
聴覚障がいのあるスポーツ選手は、4年に一度開催されるデフリンピックが最も大きな舞台になります。
この大会の特徴の一つは、きこえない当事者が主催する国際大会であることです。国内では一般財団法人全日本ろうあ連盟が運営を担当します。例えばエンブレムデザインも聴覚障がいのある大学生たちが候補デザインを制作しています。
また、パラリンピックにはリハビリという考え方がありますが、デフリンピックにはありません。きこえない人がきこえるようになることは、まずないからです。あくまでもお互いきこえない立場で競うことを目的の一つとしています。
—— デフスポーツの現状と課題
ある調査によると、デフリンピックの認知度は11.2%とのことです。我々は今回大会を通じて、この数字を上げたいと考えています。
きこえる人ときこえない人は見た目上の違いはありませんし、トレーニングによって強い体を獲得することもできます。しかし、三半規管の障がいによる平衡感覚で不利な面が出ることがわかっています。また、きこえる指導者とのコミュニケーションの問題もあります。引退後のキャリアの課題も大きいです。指導者になるには指導者講習会などへの参加が必要ですが、サッカーなど一部のスポーツ以外で講習会に手話言語通訳者がつくことはありません。デフリンピック出場者がきこえない選手を指導することは理想の一つですが、現実的には資格の問題からも難しい現状です。
—— 日本スポーツ産業学会に求めること
パラリンピックの自国開催で街や心のバリアフリーは随分進んだように感じます。が、未だ、バリアフリー法の中でも聴覚障がいの設備は遅れています。フラッシュ付きの火災警報器など、公共施設に導入されない現実があります。移動上のバリアをなくしていくことに加え、聞こえない人とのバリアフリーも沢山研究されていけば、とても嬉しく思います。
デフリンピックwebサイト
https://www.deaflympics2025.com