2020大会に向けた抱負


大日方邦子

KunikoObinata
株式会社電通パブリックリレーションズオリンピック・パラリンピック部シニアコンサルタント/公益財団法人日本障がい者スポーツ協会理事/一般社団法人日本パラリンピアンズ協会副会長/特定非営利活動法人日本障害者スキー連盟理事・強化本部長/一般社団法人パラスポーツ推進ネットワーク副理事長

――2020大会に向けた抱負
パラリンピックへの関心が高まってきています。2020年を目前に控えて、選手たちも気持ちが高まりますが、どうして私たちが皆さんから支援・応援されるのかということを選手が理解して活動して欲しい。かつてIPC会長が「レガシーは遺るものではなくて遺すものなのだ」と語っていました。応援してくださるファンの皆さんも含めて、2020年のあとに私たちが遺したいものは何なのか、それを遺すために大会前に準備しおくべきことは何なのか。そのために今やるべきことは何なのだろう。そのように考えて活動していきたいし、活動を継続していけるような環境整備ができると嬉しい。

――最近の取り組み
ナショナルトレーニングセンターが拡充されて、障がい者が優先的に使えるトレーニング施設が本年7月に開業します。ところが、その周辺のアクセシビリティ(バリアフリー化)は必ずしも十分ではなかった。そこで、スポーツ庁や国交省や駅の事業者やバスの関係者に集ってもらって連絡会議を開催し、建物の中だけではなくて周辺の整備・街づくりも進めて障害者のための環境づくりを進めたいという提言を行った。トレーニングセンターの中だけではなくて、障がい者が自然と街に出ていくことで共生社会が実現する。この活動がモデルケースになって、障害のある人も含めてだれもが安心して集まってくる街ができることを期待している。スポーツを通じた共生社会の実現という側面でもまた、2020大会のレガシーとして遺したいと考え、活動をしています。

――スポーツ産業学会について
2020大会以降に、パラリンピックスポーツが産業を支えられる柱となるくらいにもっと成長させたい。競技者だけでなく見る人支える人を増やす。例えば、車椅子バスケットボールのトップ選手が世界中から集まってくるようなリーグも可能と思う。東京大会開催が決まってから、いわゆるスポーツビジネスに取り組む方々が障がい者スポーツに注目してくれるようになった。まだまだ手探りでやっている中で、2020年以降にどのようになっているのかなどを、学術的な観点から研究してもらいたい。私も論文を投稿しなければと思っています(笑)。

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