大学スポーツ協会(UNIVAS)との関わり
境田正樹
MasakiSakaida
東京大学理事/日本バスケットボール協会理事・Bリーグ理事/UNIVAS理事
――大学スポーツ協会(UNIVAS)との関わり
「スポーツを通じた学生の人格形成を図るとともに、母校や地域の一体感を醸成し、地域・経済の活性化や人材の輩出に貢献する」という理念の下で検討されてきた日本版NCAA構想は、2019年3月にUNIVASが発足して具現化した。これまで、学生アスリートの学業環境の充実、運動部活動の安全性の向上、大学・学連等との協調・連携、「観る」スポーツとしての価値の向上と収益還元などの様々な観点から検討が進められたが、私は、特にビジネス面・大学スポーツ産業の育成とマネタイズの検討に関わらせていただいた。
――UNIVASの発足で大学スポーツはどのように変わるのか
2015年にBリーグ発足後、リーグ運営法人の年間売上高合計は、8億円から52億円に、日本バスケットボール協会の年間売上高も15億円から40億円へと増加した。この事業拡大のポイントは、デジタル技術の活用(ビッグデータ・AI)、コラボレーション(クラブと都道府県協会&自治体との連携)、ガバナンス構築(法人化とマネジメント支援)の3つであり、これは大学スポーツにも適用できる。UNIVASにおいても、UNIVASと学連と大学(アスレティック・デパートメント)が様々な連携を図ることにより、大学スポーツ界全体の価値創出・価値増大が期待できるし、さらに、大学スポーツに関わる各種のデジタル情報とそれらデータを統合したデータベースを利活用することによって、企業・自治体・大学との間の様々なコラボレーションも生まれ、新たな価値向上とマネタイズが可能となる。
――スポーツ産業学会に対する期待
まさに学会の皆様から智恵をいただきたい。
UNIVASは、新しいスポーツ産業を創るという壮大な試みなので、不安や疑問視もあって、必ずしも多くの信頼は得られていない。しかし、検討プロセスの中で、今の大学スポーツには様々な問題点があるという意識はかなり高まったと思うし、それらを解決しなければという意識はかなり共有化されてきた。AI、IoT、デジタル技術によって学連・運動部・大学に眠るビッグデータの利活用が図られる予定であるが、スポーツ産業学の専門家の皆様の知見が結集してこそ、産業化の発展が達成できると思っている。多くの専門家の皆様とのコラボレーションによって、大学スポーツ関係者全てのWinWinの関係を築いていきたい。