東京2020オリパラの成果


東野智弥

Tomoya Higashino
公益財団法人日本バスケットボール協会 技術委員会委員長

―― 東京2020オリパラの成果
車椅子まで含めて6つのカテゴリーで、5つが決勝ラウンドに進出し、2つの種目が銀メダルを取ることができました。長い日本のバスケットの歴史の中で、オリンピックで1度もメダル取ったことがなかったことを思うと、大きな成果といえます。男子は3連敗でしたが、これまでは「フィジカルが弱い」との評価が大半だったところ、今回は「このレベルの経験を積み重ね無いと勝てない」という評価へとステージを上げたと思います。「世界1を目指す経験をする」ということにつなげることの重要性を、私も勉強させてもらいました。

―― 「技術委員長」という職責
強化の戦略は現場(監督)に任せて、運営マネジメントサイドがテレビやお金のことを考えているだけだと、目指すべき世界基準との乖離が正せない。強化の現場と運営のマネジメントの両者を繋ぐ仕事が必要で、全般をプロデュースする力がないと、チームスポーツは特にうまくいかない。クラブや選手あるいはスポンサーとの関係が複雑化しているチームスポーツにおいて、各々のステークホルダがパワーを待っている組織を、理路整然に御して1つの方向に向けることは、並大抵ではありません。私は、技術委員長として5年間それだけを考えて、折々のタイミングで大枠の戦略を立案し、ディシジョンメイキングしてまいりました。

―― スポーツ産業学会への期待
スポーツを科学することをマネジメントにどう落とし込んでいくのか。そのための人間関係とか、もしくは、アイディアを共有できる仲間。スポーツ産業学会には優秀な方々がおいでだと思うので、その頭脳をスポーツ界に導いて好循環を目指すことを期待したい。 「勝つ」ということには失敗も成功もあるでしょう。本当の意味で「勝つ」ということ、あるいはその上昇のパターンをビジネスに繋げる仕組みを解明してもらいたい。

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