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スポーツビジネスの現場から 国立大学の運動部活動がスポンサー契約?鹿屋体育大学の自転車競技部の奔走

スポーツビジネスの現場から
国立大学の運動部活動がスポンサー契約?鹿屋体育大学の自転車競技部の奔走
萩原悟一│鹿屋体育大学講師

国際大会で優勝する学生、ユニフォームにスポンサー各社のロゴが並ぶ photo: Hideaki Takagi

一般的に大学運動部活動は学生主体で運営が行われ、活動費は部員から徴収される部費、OB・O Gなどからの寄付、大学からの助成金などで成り立っているが、大学スポーツのさらなる振興には十分な運営資金が必要であり、多くの大学運動部活動では資金調達力が足らず、十分な活動が行えているとはいいがたい。また、競技力向上のための強化費等を捻出しようとすれば、学生の負担を増加せざる負えない状況が存在する。そのような状況を変えるべく、大学運動部としては異例の企業スポンサーを募ってチームを運営する大学スポーツチームが存在する。
鹿児島県鹿屋市に所在する国立大学法人鹿屋体育大学の自転車競技部は創部21年で、これまでに全国大会優勝回数が308回、五輪代表選手4名を輩出する強豪であるが、創部当時はマイナースポーツの代表格であった自転車競技に対し、支援してくれる企業スポンサーなどは存在しなかった。しかし、「大学スポーツから世界で活躍できる選手を輩出したい」という黒川剛監督の強い思いに賛同した企業スポンサーが徐々に集まるようになり、2 016 年現在、鹿屋体育大学の自転車競技部を支援している企業スポンサーは2 0 社を超える。
その企業一覧を見ると地元企業スポンサーから、ドイツ車メーカーのメルセデスベンツといった大手企業スポンサーまで、プロスポーツチームに匹敵するほどのスポンサーが支援をしていることがうかがえる。
これほど企業スポンサーを集めることができた要因は何か黒川監督に尋ねると「人と人とのつながりを大切にすること、そして、監督自身が熱意をもって企業を回り、自転車競技の良さを伝えること」であるという。また、
「地域密着、地域に根差した愛されるチームを学生とともに創ること」も重要であると語る。指導者でありチームの営業担当である黒川監督の奔走は続く。

▶はぎわら・ごいち 九州工業大学大学院生命体工学研究科博士後期課程修了、主な著書は『スポーツビジネス概論2 』(叢文社2016)

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