いま、スポーツ産業は
尾山 基
Oyama Motoi
日本スポーツ産業学会共同会長 株式会社アシックス代表取締役社長 CEO
── いま、スポーツ産業は
2015年11月に文部科学省が「今後10年間でスポーツや文化に関連した産業の規模を3倍以上にする」という計画案を発表し、2016年6月に閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」では、名目GDP600兆円に向けた取り組みとして、「 世界最先端の健康立国 やスポーツの成長産業化」がうたわれています。いま 、スポーツは拡大が期待できる産業の1つとして注目されています。
──日本スポーツ産業学会への期待
日本スポーツ産業学会は、スポーツ産業の健全な発展と国民のための豊かなスポーツ環境の醸成に資するこ とを目的として平成2年に設立され、20年以上にわたってスポーツ産業学の発展に貢献してきました。日本は、これまでどの国も経験したことのない急激な少子高齢化ならびに人口減少という地殻変動の真っ只中にあり、また、身体不活動という社会問題に直面する一 方で 、2019年のラグビーワールドカップ、2020 年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会、2021 年の関西ワールドマスターズゲーム ズと 、立て続けに国際スポーツイベ ントをホストすることになります。また大阪府は「人類の健康・長寿への挑戦」をテーマに2025年国際博覧会(万博) の誘致を目指しており、経済産業省も検討会を設置しました 。スポーツ産業にかつてない大きな期待が寄せられる状 況 下 、本会には、アカデミズムの探求という旧来的な役割にとどまらず、シンクタンクとしての役割への期待も高まっています。
── 本誌の創刊について
本学会の研究成果は学術論文として刊行されていますが 、実業に携わる皆様にはあまり役に立ちませんでした。アカデミックな成果だけでなくスポーツビジネスの現場の情報を有効に活用するためにも、本誌の創刊には大いに期待しています。学会員にとどまらず 広く多くの皆様に本学会への関心を深めていただくことでスポーツ産業の発展に資することが、本学会の使命であると確信しています。