Tokyo 2020への期待 ゴールドパートナー企業の立場から

Tokyo 2020への期待 ゴールドパートナー企業の立場から


2016年6月に閣議決定された日本再興戦略においては、名目GDP600兆円に向けた取り組みとして、世界最先端の健康立国やスポーツの成長産業化がうたわれており、2020年に東京で開催されるオリンピック・パラリ ンピック(Tokyo 2020)は、日本国民・民間企業における消費マインドの向上や、海外から日本への関心の高まりなどが期待されている。政府諸機関・自治体や民間企業・NPOなど、Tokyo 2020に向けて日本全国津々浦々で様々な取り組みが重ねられているが、メダルへの期待やスポーツへの関心などに代表されるスポーツの興隆と、スポーツの国際競技力、さらには、市場の活性化を 通じた日本経済の発展は、必ずしも同様に振興するものではない。そこで、本稿では、Tokyo 2020にかかわる 様々なステークホルダの期待を分析するために、まず第 一弾として東京2020オリンピック・パラリンピックゴール ドパートナーとなった企業を対象として実施されたアンケート調査結果(概要)を報告する。
まず、Tokyo2020のパートナーになることによって事業戦略・成長戦略に変化があったかとの質問に対しては、「ほとんど変わらない」との回答が27%、「少し変わった」が46%、「大きく変わった」が27%であった。

次に、Tokyo2020のパートナーであることの活用法について尋ねたところ、「かなり活用している」との回答が最も多かったのは「広告宣伝(64%)」であり、「社会貢献活動(55%)」「取引先との関係強化(36%)」、「新規事業開拓(36%)」と続く。回答いただいた企業のうち、何らかの項目で「かなり活用している」と回答したのは73%に上ったが、「ほとんど活用しない」「全く活用していない」という回答も散見された。「全く活用していない」を0点、「かなり活用している」を3点として、企業ごとに活用度の平均スコアを算出すると、最高の3点 (全項目で「かなり活用している」と回答;1社)から最低の1. 5(「ほとんど活用しない」と「活用することがあ る」が半々程度;1社)と、企業によって活用の程度にばらつきがあり、その活用法を模索している状況も感じられた。

Tokyo 2020のパートナーとしての各社の「期待」について尋ねたところ、ほとんどの項目において「期待している」あるいは「大いに期待している」との回答が多くを占めたが、中には「どちらともいえない」との回答もあり、 項目ごとに平均スコア(期待度)を算出したところ、「障がい者スポーツの発展」が最高値(1社以外は「大いに 期待している」と回答)を示した。次点が「日本経済活性化」であり、「スポーツ人口の増加」や「スポーツ産業の発展」に関するスコアは相対的には低かった。
以上、第一弾としてゴールドパートナーを対象としたア ンケート調査結果の速報値を報告したが、今後、継続して分析を続けたい。(続)

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