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地域活性化ソリューションとしてのeスポーツ eXe Field Akiba オープンについて ──

地域活性化ソリューションとしてのeスポーツ
eXe Field Akiba オープンについて ──
梁瀬和人│株式会社NTTeSports顧問

地方自治体の大きな悩みは少子高齢化や産業の担い手不足であるが、eスポーツはその悩みを解消する一つの対策として大きく期待されている。若者が熱狂し、しかもスポーツが得意でない人や障がい者や高齢な方でも楽しめる、そんなeスポーツに興味を持つ自治体が多い。
すでに大きな成功事例がいくつか出てきている。富山県で開催されている「Toyama Gamers Day」、当初は10人程度のゲームコミュニティが昨年は3000人を集めるイベントにまでに成長した。地域のゲーム好きな人たちを大切にしつつ行政や地元TV局や企業の協力を得た、地域の課題とeスポーツをうまく組み合わせた成功事例である。
NTTeSporstの母体であるNTT東日本には以前からeスポーツを利用して地域活性化を目指したい自治体からの引き合いが多かった。そもそもNTT東日本の主要顧客は自治体、学校、医療である。そのような機運の高まりの中で今年1月に株式会社NTTeSportsが創設された。元ゲーマーで長くボランティアで秋葉原のeスポーツコミュニティを牽引してきた影澤潤一氏がNTT東日本にいた事が大きなポイントだった。もちろん彼のその経験と能力を選任組織に抜擢し新会社まで作ったのは会社トップの英断である。
誰もが予想できなかったこのコロナ過で変わったことは、自治体やeスポーツに関わる企業が、集客を前提としたeスポーツイベント開催ではなく、配信番組の作り方を工夫して地域の魅力を伝える活用という動きに変わってきている事、そしてリアルスポーツのアスリートが次々とeスポーツに参戦するようになった事があげられる。
そのような中、株式会社NTTeSportsはこの8月11日に秋葉原にeXeFieldAkibaをオープンした。この施設はNTT東日本グループが地域活性化を目指して取り組むeスポーツ事業のシンボルであり、eスポーツの魅力を発信する拠点である。梓設計や丹青社など経験豊富な企業の協力のもと、この施設をeスポーツ発展のプラットフォームとして位置づけ運用しながら柔軟に変化を加えられる空間を目指している。

▶eXeFieldAkibaプレイエリアにある国内室内最大規模のLEDパネル

秋葉原UDXの4階の奥のエリアに面積175㎡のeXeFieldAkibaは誰からも見えるようにガラス張りにしている。誰からもオープンに見てもらえるようにしている理由は、来場する方々にeスポーツに関わる業務、必要なアイテムをすべて見てもらいたいという発想から来ている。来場するお客様には3本のラックの中身まで写真に撮ってもらってよいようにしているのもその表れである。そもそもeXeFieldという名前はeスポーツだけでなく音楽イベントでも会社の何かのイベントでも自由に使ってもらいたいexecutionしてもらいたいFieldなのだ。従ってこのFieldは半日や1日のレンタル(エンジニア1名込み)のようなサービスメニューも提供している。
ここはプレイエリア、カフェエリア、ICTエリア、配信エリアから成り立ち、受付を入ると前面に6.7m×2.4mの大きなLEDパネルが目立つ。これは室内に置かれるLEDパネルとしては国内最大規模で、1.9mmピッチの精巧な画面はプレイヤーの技術や興奮を参加者に伝えるのに大きく貢献する。
また通常はバックヤードに置かれる配信エリアの機材を見せることで、eスポーツに関わる仕事を理解してもらう狙いを持っている。もちろんこの施設では5G、10G超回線、AR、VRといった最新ICT技術が活用されており、新たなエンタメシーンをNTTeSportsが提供する。

配信エリアには最新の技術を駆使した音響・映像表示システムがあり、室内の興奮を最大化するためのスピーカー、アンプ、ライトなどを集中管理可能。また最新鋭の映像制作システムがあり、ビデオスィッチャー、オーディオミキサー、ハンディカム4K、などを使いリアルタイムで編集、制作を行い、同時にネットに流せる環境が整っている。
カフェテリアは銀座スエヒロの協力を得て、ゲーマーや観客、スタッフに向けた質の高い飲食をサポートしてくれる。このエリアは影澤がこだわった一つのポイントで、イベント開催の際には特に飲食は大変重要な要素になる。この会場のすべての設計には長年影澤がeスポーツコミュニティを通して経験した期待や反省がこめられている。
こだわりの一つはゲーマーが使うPCと椅子と机である。机はすべて三角で10㎝程角がない。三角の机はゲームタイトルが変わる度に机の設定を変えなくてはいけないのでそれが簡単にできるようになっているのだ。椅子にも勿論こだわりを持ち色やデザインにも特注を要求しオカムラが提供してくれている。
8月11日のオープン後連日多くのお客様が来場しているが、さらに自治体などからの引き合いが増えている。今後はコンサルティング活動を通して各自治体のニーズに合わせ、それぞれの地域の特長を生かした提案活動を提供していくことがNTTeSportsに求められる。
影澤はこの施設にまだまだ満足はしていない。来場するお客様の意見を取り入れ日々改善の検討を重ねている。
NTTeSportsが実践している別の事例は、地域に根ざしたeスポーツのイベントソリューションの提供である。タイトーとNTTeSportsは国内最大級のアーケードゲーム大会「闘神祭」を共同開催する発表を行った。日本におけるeスポーツの発展はゲームセンターの文化やコミュニティと密接な関係を持っている。既存の文化を継承しつつ、ICTを活用した新たな体験を通してeスポーツがより幅広く身近なものとして受け入れられる支援を行っている。実際に多くの人に見てもらい、魅力を理解してもらってファンを増やしていく地道な活動ではあるがとても重要で有効な方法と思っている。
今後の日本のeスポーツ発展のために参考にしたい取り組みを行っているのは米国NFLダラスカウボーイズである。日本では自治体が地域活性化を目指してeスポーツを取り込んでいきたい意図が大きいが、それと全く違う取り組みである。莫大な資金を投じてeスポーツのComplexityGamingを買収し、リアルなプロスポーツと変わらぬアスリートとしてeスポーツ選手をフィジカル、メンタル両面で強化するメニューを用意している。彼らは「eスポーツ3.0」のもと、選手が心身ともに健康で、キャリアを着実に積み重ねながら、息の長い選手として幸せな人生を送るようサポートすることを最重要な目標としている。もともとサッカー「FIFA」、アメフト「Madden NFL」、シューティングゲーム「Fortnite」に強い集団だったのがダラスカウボーイズ傘下に入り、30のゲームタイトルで140回以上の優勝を誇るチームになった。今後このような取り組みが日本で実現されるには時間がかかりそうであるが海外先進事例として今後の動きが興味深い。ICTの世界ではアメリカに先行されているという話をよく聞く。AmazonやGoogle,Microsoftなどの優良企業がそれぞれのフィールドで席巻をしているが、ダラスカウボーイズのこの動きはeスポーツの世界でも大きな資本を持つ大企業が強い意志と戦略を持って先行的な動きで“ぶっちぎる“可能性がダブって見えてしまうのは筆者だけだろうか

▶eXeFieldAkibaは火曜を除く水曜から月曜までの午前11時から午後10時までが通常の開店時間です。

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