sports scene
多くのレジャーに制限がかけられてきたコロナ禍。スポーツ産業も打撃を受けた中、ゴルフはむしろ人気の高まりを見せている。
経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査」でコロナ前後の2019年度と2021年度を比較すると、ゴルフ場の年間利用者数は約1.1倍、練習場では約1.3倍に増加。総務省の家計調査でも、29歳以下の人が用具の購入やゴルフ場の利用にかける費用が上記と同期間で約3.3倍増という結果が出ており、特に若者からの人気が高まっていることが伺える。若者がゴルフを始めるきっかけとしてよくある「仕事の付き合い」がコロナ禍で減ることでプレー人口も減るかと思いきや、自分自身が楽しむため(真の意味での「sport(気晴らし)」として)ゴルフを始める人が増えたのだ。
かく言う筆者も友人に誘われ最近ゴルフの練習を始めた若者の一人である。在宅勤務による運動不足解消には良いスポーツと思いつつ、どうしても引っかかることがあった。「ゴルフ場は環境破壊ではないのか?」という疑問だ。ゴルフ場建設時に発生する木々の伐採や地形の改変などを世間が度々批判してきたこともあり、私もあまり良い印象を抱いていなかったのだ。だが調べてみると、実は環境の保全に大いに役立っていることがわかってきた。
まず、建設にあたっては残置森林の確保が義務化されており、面積の5~6割は森林が保持される。木々を伐採しても芝を植えることで土壌の流出は抑えられ、なだらかに整地することで土砂崩れリスクも低下。さらに、ゴルフ場である限り不要な宅地化からも守られるのだ。また、林・草地・水辺など様々な環境が作り出されることで「里山」に似た条件となり、生物の多様性も維持されるという。
自然保護は募金やボランティアだけでは成り立たない。高齢化や人口減少で森林の管理が年々難しくなる現代において、ゴルフ場を適切に管理していくことは環境保全の一つの解であろう。そして、コロナ禍でプレーを始めた若者たちがベテランになるまで競技を続けることが、ゴルフ場が保全してきた環境を保つために間違いなく重要なのだ。私自身も自然環境と自身の健康両方のサステナビリティを実現するため、これからゴルフを楽しんでいきたいと思う。
▶文・写真│伊勢采萌子