Jリーグの現状と課題


野々村芳和 Yoshikazu Nonomura
Jリーグ チェアマン

—— Jリーグの現状と課題
サッカーというスポーツのポテンシャルを世界との比較で考えたら、日本においてはまだまだ価値を認めてもらっているとは思えない。DAZNに権利を買ってもらって一時的には金額的価値は上がっているが、閉じた中で権利を売っていくことが良いのかどうか。もっと多くの人たちにリーチしないと競技面も人気も、将来伸びていかないのではないかというのが一番大きな問題意識。
まずは、なるべく早く「声出し応援」を実現したい。サッカーというスポーツの特性や楽しみ方を考えた時に、情熱が見ていて伝わるとか、現場にいて伝わるというのがなければいけないと思っている。また、Jリーグはリーグ全体で統一した考え方のもとで様々な施策を行ってきたが、それぞれのチームレベルに応じた成長のさせ方があるはずだと思う。

—— 他スポーツリーグへの眼差し
自らがどのようなリーグを目指すかが重要。Jリーグは創設時に、クラブ数が幾つになっても地域とともに作っていくと決めた。アメリカ的なスポーツエンタメ重視か、文化も踏まえて地域に根差したものにしていくかなど、最初の「決め」を考えることが大切。

—— 日本スポーツ産業学会への期待
1993年のJリーグ開幕から30年の時を経て、選手や指導者がプロになった。30年経った今はクラブスタッフがプロにならなければならない。マネジメントができて、ガバナンスも理解したプロフェッショナルのクラブ経営者がどれだけ出現するかがリーグの発展に直結する。例えばあるJリーグのクラブがここまで成長できたのはこういった要因があったからだとか、トップレベルのビジネスモデルを持つクラブの分析だとか、多くの実例にあたって成功のセオリーを導き出してくれるような研究をして頂くことで、Jリーグのみならず日本のプロスポーツ進化に直接的に寄与して頂きたい。

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