第30回日本スポーツ産業学会(二日目)一般研究発表後の雑談


第30回日本スポーツ産業学会(二日目)一般研究発表の後の雑談
2021年7月11日。午前中の一般発表終了後に、zoom上で雑談が繰り広げられました。せっかくの話題なので、ここに掲載させていただきます。

司会 午前中のセッションはこれにて終了とさせて頂きます。ここからは午後のセッションについて簡単にご説明をいたします。13時からは実行委員会企画としてアビスパ福岡の川森社長、味の明太子株式会社ふくやの川原社長、そして福岡DCの石丸事務局長をお迎えしまして実行委員会企画のシンポジウムを実施致します。自分でハードル上げるようですけれども、かなり気合を入れて我々準備しております。遠隔でここまでやるのかというような状態に仕上げようと我々努力してやっておりますので、是非13時からご覧頂ければと思います。では皆様におかれましては、それまで御休憩のほどよろしくお願いいたします。

岡本 ありがとうございます。午後も楽しみにしております。

福田 なかなか先生方とリアルでお会い出来ないので、この後のセッションありませんので、私少し残ります。もしよかったら今回の学会大会のご感想などお聞かせいただけますと。午後に可能な限り反映させていただきます。いかがでしょうか。

高橋 よろしいですか?福田先生、ありがとうございます。ソフトバンクホークスさんの発表は非常に興味深く、アビスパさん、今の石原さんの発表なんかもそうですけど、本当にいろいろ、大きいところから、小さいところまで、中央の東京に居ないからこそ、色んな事をやっていけるのだと思うのですよ。その可能性が何か見えてくると、いろんな地域に勇気を与えるかなと、今回ちょっと感じていまして、非常に興味深く思っています。やっぱり東京と違うってところが非常に大きいと思うのですよね。東京に居ると、やっぱり関係者に近いとか、情報に近いとかいうのが、逆にね、歯止めになっているような感じがして、大いになんかやっているのが九州だなってちょっと感じるところがあります。

福田 ありがとうございます。もう少し我々に余裕と実力があれば、福岡にはラグビートップリーグのチームや、ビーチサッカーのチームなんかもありますので、その辺もおよびできればよかったんですけど。それはあの今後の課題とさせていただきます。

高橋 たぶんあれ?理事会で出てなかったかな?多分、売上高が10億から30億くらいの、いわゆるこれから成り上がってくるような人たちって意外と小金持ちで、彼らをどうスポーツに持ってくるか。だから1部上場みたいな話は、まあ東京だとそうなるのですけど、意外と隠れている大金もちいると思うのですよね。今、ひと晩に、飲み屋で100万使うみたいな人。そういう人たちをスポーツ界がどう使うかって非常に課題だなと思っていますね。そういう意味で九州なんかもそういう人たちって、実は相当いいんじゃないかなって気がします。

福田 中州に流れたはずのお金を如何にスポーツに持ってくるかって話ですよね。でも、それこそ年間400万円ぐらいで運営できるプロスポーツチームのオーナーが言ってたのですけど、大阪の北新地で、まさにその層の方を狙ってスポンサーになってくれってお願いに行ったらしいんですよ。目の前のホステスさんには簡単に30万とかポンと渡すような人らしいんですけど。スポーツにはなかなかこう10万でもかなり渋っているそうで、その感覚的な違いが大きいという話を聞いたことがあります。

高橋 僕もそういう人はちょっと何人か知り合いがいますけど、あのやっぱり自分たちがそれなりにトップに立てないと、なんか大企業の人と出会えるからっていう程度じゃダメみたいね。やっぱり動かしたいっていうニーズがあるのですかね。やっぱりそこまで自分でなって来ているからね。何10億までの売上までで、そこでなんかスポーツに出た瞬間に、そこらの坊ちゃんだろみたいに言われるのが嫌な感じなのかな。新しいリーグを作っちゃいたいとか、なんかちょっと破天荒なのですよね。そういう人たちをどう引き込むかなというのをね、いつも感じています。飲み屋でめちゃめちゃ払うのに、スポーツ払ってくれないのだよね。

岡本 私の方からは少し角度を変えた話題提供を。このリモートで開催された学会大会は九州の福岡と東京の世田谷の自宅にいる私をつないで成立している。このような形で遠く離れた地域間がつながりやすくなっているということは、要するに働き方の改革が今後どんどん進んで、東京でビジネスをやっている人たちが九州を拠点にビジネスがしやすくなる。九州出身の人たちが地元に戻って、実家のそばで暮らしながら、東京に本社がある会社で努めることが可能になる。福岡に限らず、世界的にそのような働き方が可能になっていく。世界がそのように変化すると、スポーツが、もしくは球団が持つ価値がものすごく高まると思われます。即ち、地方では体験できないものがあるから都会に出て行くことになっていた人たちが出て行かなくなる。もしくは戻ってくる。都会にある、生活の質を充足させるものが地方にもあるとそのようなことが促進されるのではないかと考えます。そのようなためには、やはり、スポーツ観戦が定期的にでき、地域の人たちとチームを応援するという楽しさが身近にあるということは非常に大きい。だから、球団が持つ価値はもっと高まっていく気がします。

福田 はい、そうですね。福岡なんか実際に東京からもう移住されてきている方がかなり増えました。ちなみに福岡市役所に転入届を持って行くと、今はちょっと難しいんですけど、ホークスの観戦チケットもらえるんですよ。市役所でもらえるんですね。ホークス戦を観戦することで福岡に来たっていう、自分も福岡市民になったんだというスイッチを入れてもらうきっかけ作りをしていて。なんというか転入者と、もともといた方との接着剤にホークスがなるという仕組みづくりは他の地域にも広がっていけばいいとな思っています。

高橋 あの僕の知り合い天草に引っ越したんですよ。天草空港は、熊本まで飛行機で飛ぶと、実は東京までもすぐ行けるのですよね。で、釣りから何から、自然に囲まれていながら、東京に行かなきゃいけないときはすぐ行けるっていう、ほぼリモートですね。ああまあ、多分そういうようなことが可能になってきているので、そのときになんかチームのオーナーにもなれるとかね。東京にいたらオーナーなんか、そうそうなれないので、そういうチャンスって今、岡本先生言われたようなことってありえるなあっていう感じがしますね。

福田 バスケットの3 x3だと経営規模もだいたい年間400万とか500万円ぐらいだったと思うんですよ。そう考えるという中小企業の社長さんがポケットマネーで運営できるという可能性は非常に高いのかなという印象を持っていますが、いかがですか?

高橋 僕の大学院にいた人で言っていたのは、いわゆる青年会議所とかロータリークラブは年功序列じゃないですか。青年会議所は卒業するからいいけど、その後ね。卒業しないでお年寄りが、あんまりお金の話はしないみたいなルールがあるみたい。それだったらチームに集まってロータリーと同じような機能があれば、実は中小企業の人たちやりたいような話をすることができるのではないかと言っていましたね。若手の経営者で青年会議所を卒業後に商工会入ったら、またぺーぺーですよとか、ロータリーからそれをね、一気にプロチームを持った瞬間に、もうね、その地域の長(おさ)みたいな雰囲気になれるのですよね。そういうなんか逆転の機能って、実はクラブにあるのではないだろうかというのも、あのうちの社会人学生が言っていたことなのですけど、受け売りで言っていますけど。

福田 そうですね。あの高橋先生の研究室の卒業生で、あの今、私も手伝っているヴォレアス北海道っていうチームがあるんですが、若いチームですけど、やっぱオーナーになることで地域に対するイニシアチブを取れるというか、そういうとこがありますから。なんかそういう若くて勢いのある人がどんどん入ってくるようになると面白いかもしれないですね。

井上 石原先生の話の中で小規模、地方、という話があったかと思うのですが、今回のコロナを機に、エリアフリーな投資が生まれるのではないかと思います。つまり、東京にいて米子とか福岡とかのクラブに出資してしまう話です。これはわかりやすく言うとアラブの石油王が欧州のサッカークラブに投資しているのと同じです。Jリーグをはじめとする地域密着には反するかもしれませんが、投資の理論から言えば、地域に密着しないようなことも今後はどんどんあるんじゃないかな。

岡本 ジャパネットたかたの高田明元社長の例(長崎のV.ファーレンを支援)もありますしね。成功した方が故郷のチームに支援していく。

井上 ふるさとじゃなくて要は全然自分と関係ないんだけどもなんか知らないけどなんかええと。例えば、佐々木朗希はすごいな、と思って大船渡の野球チームのオーナーになってしまうなんてことです。

福田 たとえば、バスケットのスサノオマジック親会社がバンダイナムコですよね。あれは何か関係あるんですかね。島根県とバンダイナムコの間には。もしなかったとしたら、まさにその形だなと。今までは地縁、(企業同士の)血縁でチームを買収することがあると思うんですよ。例えば今回の発表にあったアビームコンサルティングも、そうじゃない事例ですよね。地縁の全然ないところに、手を入れることでここは優良物件になるとか、この選手を連れてくることでチームの価値を高めようとか、そういう前向きな計画と行動を示しているクラブに対して、facebookで全然しらない人がいいね!してくれるように、30万円を投資するという選択をするケースって今後あるんじゃないかと思うんですよね。

井上 そうですね、はい。先ほど報告したフランスの事例だと税制に引っかかるんですよ。水野先生の質問は、例えばミズノ株式会社のような企業が広告掲出としてスポンサーシップすれば、損金になります。だけど、例えばそうではなくて、我々がいいなと思って30万円をソフトバンクホークスに寄付します。寄付という行為はスポーツにつきものですよね。これは税制上なんにもなりませんよね。

高橋 それは中小企業もそうですよ。成り上がってきた中小企業がいきなり、スポーツに、お金を出すと税務署に目を見つけられます。そうですよね。君たち、今までやってきた仕事と全く違うでしょって言われて。そこで税務署きますよね。これ道楽でしょというのです。ソフトバンクが好きだから30万円だしているのでしょと、社長の道楽だからと言われて、査察が一気にくるのですよ。これは費用対効果でまあ適正ですねって形で認められると思うのですけど、まあそこら辺のおっさんとかが30万円払ったら。それ一体何ですかになりますよね。そうそう、飲み屋をね。球団にした瞬間、税務署はそう判断するのですよ。飲み屋だったら損金か言っていたのが、いきなり球団にだした時に社長が会社のお金を私的に流用したのではないかと言われます。

福田 ふるさと納税の仕組みって今別枠であるじゃないですか。フェンシング協会も佐賀県と組んで実施してますけど、この枠組みってもっとうまく使えないでしょうかね?

井上 それやってますよ。例えば、私の出身高校は今度人工芝にするんです。ふるさと納税で人工芝にします。公立高校ですよ。県立高校。

福田 うん、そういう何ていうか、行き場の無くなったお金をふるさと納税の仕組みで学校とかチームに還流させるっていいかもしれませんね。うん、そもそもこの話、飲み屋で使われるはずだったお金をどう引っ張ってくるかという話が元でしたよね?北新地の帝王である藤本先生もまだ残っていらっしゃるんですけど、先生いかがですか?

藤本 北新地。自分のお金を払ったことがあまり無いからわからん(笑)。稼いだお金をスポーツに回してよって話ですよね。ほんとそんな話ですよね。でも、現状では北新地も閑散としてそんな余裕はないでしょうね。今後、かなり儲け続けてスポーツに投資する店のオーナーがいたとしても、今回のような景気の上限の影響がスポーツにも影響してくるんじゃないか、飲む景気マネーに左右されるのはどうか、とも思いますね。とはいえ、これまでの議論のように、地方でも、個人である程度資産持っていて、この際っていうような人ってのは結構いるような気がするんですよね。

高橋 だから、藤本さんの北新地のクラブが球団だったらいいわけじゃない。球団に行くといいお姉ちゃんに囲まれるみたいなさ。そういうサービスには辛いわけでしょ?

藤本 個人的にはそういうアイデアは大好きですけど、世間の見方をブレイクスルーできるかどうかはね、ちょっと。

井上 ちょっと違うかもしれないですけど、あの欧米のクラブがホスピタリティに力を入れるってのは、そういう文脈なんでしょうね。スタジアムが社交の場で接待の場合になるので、そこで30万円払って商談する。ヤンキースタジアムで30万円商談するのと、北新地で30万円かけて商談するのは同じように扱ってもらえるわけですよ。北新地の30万円は損金算入になる。経費で落とすことができるかもしれませんけども、日本だと多分30万円のチケットはまあちょっと難しい。まあ今できると思いますけどね。まあ、アメリカのスポンサーシップはそういうお金持ちが支えています。みなさんご存知の通り、そんな感じですもんね。

藤本 うん、そういうとこで会いたい人やそれなりの人に会えて話が出来るから、みたいなところですね。

高橋 うん。まあ、それはお姉ちゃんじゃないからね。だから飲食に対して30万払ったということは損金として認められることですよね?

石原 うん。あのすみません、いいですか?福田先生がおっしゃったんですけども、私は、ヨーロッパに行った時なんですけどね。向こうの野球場、小さいんですけれども、必ずと言っていいほどレストランとか社交場があるんですよね。ネット裏とかスタンドの方に。そういうところで落ちるお金ってのも、大きいんじゃないかなとは思いますけどね。

岡本 今回のコロナ禍で判明したのは、スタジアムとかアリーナなどの観戦の場では、コントロールされているので感染リスクは低い。それよりも、その後の飲み会、懇親会が感染を広げるリスクを高める。そのようなことが判明したということは逆にいうと、そこが人々の交流を促進する場として、もちろん、経済的側面としても非常に重要であり、スポーツの持つ他にはない価値になっていたということですよね。コロナ禍でそれが失われた。

福田 やあなんかこの延長戦、面白いですね。いや本来ならばリアルでもっと九州を皆さんにお感じいただきたかったのですが。

藤本 あのbreakoutルームのアイデアは面白い。何度か入ったんだけど、誰もいなかった(笑)。誰がいるかも事前にわからなかったしね。

福田 そうそですね。でも、ほかの人が発表してる時に誰々さん、ちょっと行きましょうかっていう風にはなかなかなりませんでしたね。これまでの学会発表のときを思い浮かべると、質疑応答がエキサイティングして、時間が足りなくなった時に「続きはフロアでやってください」ってあるじゃないですか。あのイメージだったんですよ。

高橋 わかります、わかります。でもこれって今ネットで新しく出た最近ですが、あのサービスと一緒ですよね。こうやってみんなが喋っているのをみんなが主張するって何て名前だったかな?

藤本 Clubhouseでしょ?

高橋 あ、そうそう、こんな感じで、こういう風に話してるのをあの雑談として聞きたい人が来たらいいよみたいな。

藤本 こういうの大学院生が聞くと、ほんとはめっちゃ勉強になるんですよね?

岡本 そうですね。九州の福岡という場が、やはり、非常にいろいろな想像力をかきたてる装置になっている。だから実際に、リアルに行ってこのような交流がしたかったですよね。

福田 当初の発想はですね、今回の学会大会はたまたま鷹の祭典の期間にバッティングしたこともあり、リアルで実施する場合は懇親会をドームでやりましょう!というものだったんですよ。

石原 昔、新潟でやりましたよね、サッカー場で。

福田 そうです。はい、21回大会ですね。その時も僕が実行委員会のメンバーだったんです。なんか飲み会担当ばっかりですみません(笑)。

藤本 そうです、そうです。そして、実際にスイートで話始めると、みんな全然下の試合を見ずに、そのルームで飲んでるばっかりのやつですよね。

福田 (ドームには)ビュッフェルームがあって一応その見積もりまでいただくっていうところまで行ったんですよね。ああ、行きたかったな。ホークスも是非それだったら見に来ていただきたいと言ってくれて。まあ今回のこの講演とセットで実は引き受けてくれたというところがありました。また、別の機会になると思うんですけど、実現したいと思っています。高橋先生、どうです?

高橋 こんなのなんかまたあの本来は取っといて新しいメディアに乗っけるとかね。

中村 ありがとうございます。実はですね、今日からトライアルでやってることなんですが、zoomの発言内容をgoogleの音声認識で記録しています。この会話もほとんど98%ぐらいは記録できてるので、是非ともスポーツビジネスオンラインに掲載させていただけないかと思ってたのですが、いかがでしょう?
バーの語りとかで匿名にしたい先生は「a」とか「b」とかでも構いません。「北新地」の話は重要なので外せませんが、皆さん全員にこの原稿を送りますので、よろしくお願いします。

福田 いいですね。全然スケスケなマスクになってるあたりがいいですね。匿名になってないっていうのが最高だ。

中村 これは雑談・余談として皆さんに紹介したいと思いますので、ぜひよろしくお願いします。

全員 はい。どうもお疲れ様です。どうもありがとうございます。ありがとうございます。よろしくお願いします。失礼します。
(了)

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