スポーツ産業を測る 2014年、2015年、2016年のスポーツGDP
スポーツ産業を測る
2014年、2015年、2016年のスポーツGDP
庄子博人│同志社大学スポーツ健康科学部准教授
株式会社日本政策投資銀行と株式会社日本経済研究所および同志社大学は、2017年度に開発した「日本版スポーツサテライトアカウント」(以下:日本版SSA2017)1)を発展させ、2018年に「日本版スポーツサテライトアカウント2018」(以下、日本版 S SA 2 018)を公表しました。日本版SSA2017では、2011年度から2014年度までの推計でしたが、日本版SSA2018では2014年度から2016年度までの推計値を公表しました。
その結果を表に示しました。要約すると以下の通りです。
①スポーツ産業の付加価値を示すスポーツGDPは、2014年は約7.2兆円、2015年は約7.4兆円、2016年は約7.6兆円となり、7兆円を超える規模であることが明らかとなりました。
② スポーツを生み出す産業であるスポーツ部門は、約5.0~5.3兆円、スポーツに関連する小売や卸などの流通に関連する流通部門は、約1.0~1.1兆円、スポーツ産業の上流にあたる投入部門は、約1.1~1.2兆円という結果となりました。
③ さらに、スポーツGDPが国全体のGDPに占める割合は、2014年1.41%、2015年1.40%、2016年1.41%でありました。
日本版SSA20182)は、単に2016年までの推計をしただけでなく、日本版SSA2017で推計指標としていた「スポーツGVA」を「スポーツGDP」に変更しています。その理由は、GVAとGDPはどちらも経済的な付加価値を示す概念ではありますが、欧州のスポーツサテライトアカウントにおいて推計指標を従来の「Sport GVA」から2018年に「Sport GDP」に変更していることが挙げられます。この変更によって、国際比較する上で適切な指標になったと考えられます。
2014年度のスポーツ経済規模は同じ年度でありながら、日本版SSA2017と日本版SSA2018で推計値が異なります。その理由は、上記の指標の変更および指標変更による推計の基盤データの変更が推計結果に影響していると考えられます。