スポーツ産業学研究第35巻第4号
【原著論文】
アスリートへのパーソナルコーチングの作用:上級アスリートを対象としたインタビュー調査から
青柳健隆 関東学院大学経済学部
JSTAGE
【レイサマリー】
パーソナルコーチングとは、受け手の目標達成に向け、対話によって気づきや学び、自発的な行動を引き出す関わり方です。技術や戦術を「教える」関わりの多い一般的なスポーツコーチングとは異なり、対話によって「引き出す」ことに重点が置かれています。主にビジネス領域で経営者などに対して実践されているパーソナルコーチングをスポーツ領域に応用したら、いったいどんなことが起こるのかでしょうか? 本研究では、パーソナルコーチングを受けた経験のあるアスリートにインタビュー調査を行い、どのような作用があったのかを聞き取りました。競技レベルの高い14名のアスリートにインタビューを行ったところ、パーソナルコーチングが言語化や気づきを促し、行動変容(練習の質向上や対人関係の改善など)、メンタル面の改善(モチベーションアップ、自信の向上など)を介して、パフォーマンスや競技成績に好影響を与えることがわかりました。また、アスリートは思考力や行動力が向上するなどの人間的な成長も実感していました。アスリートを支援する新たな方略として、パーソナルコーチングのスポーツ領域への応用が期待されます。


