収益事業としての教育とeスポーツ
橋本太郎 Taro Hashimoto
ブロードメディア株式会社代表取締役社長
ルネサンス高校グループ代表
金沢工業大学客員教授・コンテンツ&テクノロジー融合研究所担当
—— 収益事業としての教育とeスポーツ
教育ビジネスを始めた17年前、当社は学校教育とは無縁の普通の上場企業でした。周りは大反対でしたが、教育は21世紀最大・最重要コンテンツであるとの思いと、教育特区を国が認めた以上、我々がやらなければと会社を説得しました。今でこそルネサンス高校グループは3校(ルネサンス高等学校・ルネサンス豊田高等学校・ルネサンス大阪高等学校)となり全体で8,000名を超える在校生がいますが、開校時は2名と致命的でした。しかし、学校事業もお客様に満足いただけるサービスを提供すれば成長し、費用を上手にコントロールできれば十分成立することを、17年かけてお示しできたと思います。
その中でeスポーツはまさにコンテンツであり、エンターテインメントとも言えます。エンターテインメントにつながる教育は普通の学校ではあまりないと思います。また、コンピューターを使った競技は、長年IT業界にも軸足を置いている起業家としては、とても魅力のある分野です。
—— 日本の教育制度について
開校するまでは、学力の上澄みだけを見て教育を考えていました。例えば東大、京大に何人合格した、というところにフォーカスがあり、高校のランキングを大学進学率でつけるような考え方です。けれども今は、100%、偏差値の一番上から一番下まで、全員を浮揚させるのが高校教育のあるべき姿だと思っています。偏差値だけ見れば下のほうかもしれないけれど、eスポーツで一発逆転、OODAループ学習で、世の中に出ても絶対に負けないぞという生徒を育てることができたら、圧倒的な教育の勝利だと思っています。
—— 日本スポーツ産業学会に求めること
一人でも多くの方のeスポーツに対する誤解を解いたり、株式会社が収益事業として学校経営を行うことをけしからんと頭ごなしに決めつける方に対して、定期的に説明する機会を頂ければ、これ以上嬉しいことはありません。