「スポーツビジネスジャパン2020オンライン」 開催レポート
「スポーツビジネスジャパン2020オンライン」 開催レポート
2020年10月30日(金)、「スポーツビジネスジャパン2020オンライン」が閉幕した。スポーツビジネスジャパンは、日本スポーツ産業学会、株式会社コングレが主催するスポーツビジネスに特化した専門展示会&コンファレンスであり、スポーツビジネス界恒例のイベントとして認知いただいている。 5回目となる今回は、本学会の30周年記念事業として、昨年4月に新設した横浜の「ぴあアリーナMM」で開催の予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、完全オンライン開催へ変更。開催期間も25日間とし、期間中は無料で来場できるオンライン展示と、有料・無料セッションのLIVE/オンデマンド配信を実施。スポーツビジネスにおけるコロナ禍での課題やその対応における知見の共有、進展するDX、スポーツテック、セカンドキャリアなど様々な側面から、スポーツ産業の振興につながる情報発信を行った。オンライン展示には、17企業・団体の出展を賜り、コンファレンスは全24のセッションに約80名にご登壇いただいた。
LIVE配信で行った 企画委員会プロデュースの全24セッション ――配信会場にはプロフェッショナルが集結
10月6日、7日にLIVE配信が行われたコンファレンスには、オンライン開催のメリットを享受し、シリコンバレー、ニューヨーク、ジュネーブなど海外からの登壇者も参加。世界のスポーツビジネスのトップランナーが一堂に集った格好となった。全24セッションのうち22セッションはオンデマンド配信を実施。オンデマンド配信は、いつでも、どこからでも参加が可能になり、多くの参加者にご好評をいただいた。
コンファレンスプログラムの企画・構成は、スポーツ界を代表する有識者らで構成する企画委員会がプロデュースし、ウィズコロナ・ポストコロナのスポーツビジネスに求められる情報が余すところなくカバーされたプログラムであった。
10月6日、開会式で幕開け―― 特別講演として「Jリーグ×B.LEAGUE」 両チェアマンの対談が実現
日本スポーツ産業学会の中村 好男理事・運営委員長の進行により、日本スポーツ産業学会の北村 薫理事長による主催者挨拶、スポーツ庁の牛尾 則文スポーツ総括官の来賓挨拶で開幕した。 その後の特別講演「コロナショックを契機とした、これからのスポーツビジネス」では、早稲田大学スポーツ科学学術院の間野 義之教授のモデレートで、Jリーグ村井 満チェアマンとB.LEAGUEの島田 慎二チェアマンの対談が実現。両リーグとも、新型コロナウイルス感染拡大によって、リーグ中断や中止を余儀なくされた。再開の課題や発見、今後の展開などについて議論が交わされた。
各セッションでは、コロナ禍で加速する スポーツビジネス界の進化が多角的に語られた
本年のコンファレンスセッションを振り返ると、以下の3点がポイントだったのではないかと思われる。まず1つ目は、スタジアム&アリーナの進化だ。参加者も喫緊の課題感を持って視聴していた内容で、無観客試合などを経てリアル観戦も始まる中、観戦体験のエンターテインメント化や、快適な空間づくりにとどまらず、マネタイズにつながるファンエンゲージメント向上施策、スタジアムを起点とした賑わい創出や地域活性、さらにライフシーンへのスポーツの融合など、多岐にわたる取り組みが紹介された。
そして2つ目が、コロナ禍で加速するDXだ。DXがイノベーションを起こし、さらには業界の枠を超えた取り組みに繋がっている。アスリートの強化から、チーム運営、地域とのコミュニティづくり、観戦のエンターテインメント化など、様々なステージでITの活用とその事業化が推進された。同時にIT業界や通信インフラ、スタートアップ企業、メディア、配信事業者などのさまざまな連携も進んでいる。コロナ禍を経てドラスティックに進展するスポーツ産業の未来について闊達な議論が交わされていた。
3つ目が、スポーツビジネスにおける人材登用の多様化だ。チーム経営から選手の強化、マーケティング、コンサルティングやITなど、多岐にわたる専門人材が求められるスポーツ界において、DXがもたらした人材市場の多様化が事例とともに紹介された。アスリートのセカンドキャリア・デュアルキャリアの意識の高まりなど、コロナ禍を経て顕在化した、働き方、職能など様々なニューノーマルが満載であった。
これらのセッションは、コロナ禍を経て、新たな形へのトランスフォーメーションが求められているスポーツビジネス界において、すべてのステークホルダーに何かしらの気づきを提供できたのではないかと思う。
オンライン展示会では コロナ禍で激変したスポーツ産業界の ハード・ソフト両面の最先端が展示された
オンライン展示会には、コロナ禍で進むスタジアム&アリーナ構想のニューノーマルや、製品、システム及びサービス等が展示された。スタジアムを中心とした街づくりや、都市部へのスタジアム建設など、スポーツを起点とした様々なビジネスの可能性が叫ばれる中、産官学・自治体の連携、地域活性の事例なども紹介。スタジアム&アリーナ改革・スマートスタジアム構想・地域活性やまちづくりなど、スタジアム&アリーナのニューノーマルをハード・ソフトの両面から学べる内容になっていたと好評であった。 展示会では、来場者と出展企業との「商談の場」としての機能が重要になる。本年のオンライン展示会では、チャット機能を設け、ストレスなく企業担当者と会話ができるよう工夫を凝らした。 スポーツ産業への新規参入、スポーツビジネスへの取組を検討されている方々にとっても、商談・情報収集・情報交換の場として、ご活用いただけたのではないかと思う。
オンラインでもSports×SDGsの取り組みを継続 ――スポーツを通じた社会貢献活動を行う Jリーグ、B.LEAGUEにもご参加いただいた
前回に引き続き、「スポーツの力でSDGsを加速させよう」を合言葉に、“スポーツ×SDGs”の各種企画を実施した。SDGsに取り組むきっかけを提供するべく、“スポーツ×SDGs”スペシャルコンファレンスを開催したほか、スポーツを通じた社会貢献活動を行うJリーグ、B.LEAGUEにも出展いただいた。Jリーグからは、シャレン!(Jリーグ社会連携)が出展。社会課題や共通のテーマ(教育、ダイバーシティ、まちづくり、健康、世代間交流など)に、地域の人・企業や団体・自治体・学校などとJリーグ・Jクラブが連携して取り組む活動を紹介した。B.LEAGUEからは、「Social Innovationの実現」を目指し、ステークホルダーとともにさまざまな社会的責任活動を目指す「B.LEAGUE Hope」が出展。長期療養児のスポーツを通じた自立支援とコミュニティ創出を目指す「Being ALIVE Japan」とともに、スポーツの力で社会貢献を目指す「スポーツ×SDGs」に資する活動を広く紹介。スポーツの持つ力を社会問題の解決に活かし、持続可能な社会の実現を目指すヒントとなっただろう。
2021年5月より月に一度 スポーツビジネスジャパン オンラインセミナー開催決定
今後の開催について、コロナ禍の推移を見極め、リアル開催を計画していく。2021年も継続してスポーツビジネスの振興に寄与し続けたいという想いと、コロナ禍でも関係者間の交流を継続すべく、5月より月に一度「スポーツビジネスジャパン オンラインセミナー」を開催することを決めた。その時期に旬なテーマ・講師によるオンラインセミナーを、参加費無料で聴講が可能。是非、新たな学びや気づきの場としてご活用いただきたい。
▶開催概要や参加申込方法などについては、スポーツビジネスジャパン公式WEBサイトへ順次掲載予定。オンラインセミナーにご参画いただけるスポンサーも随時募集中。 https://www.sportsbusiness.jp/