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Student’s Eye 東京2020公式オリジナル商品「ジャパンプレミアム」 伝統工芸士を訪ねて 東京染小紋・富田篤

Student’s Eye
東京2020公式オリジナル商品「ジャパンプレミアム」 伝統工芸士を訪ねて 東京染小紋・富田篤
今給黎美沙│早稲田大学文化構想学部3年

東京染ものがたり博物館内に映える東京2020オリンピックエンブレム

都電の面影橋駅から歩いてすぐの神田川沿いにたたずむ日本家屋。早稲田大学から徒歩10分の静かな町に、富田染工芸の工房はある。建物の中に足を一歩踏み入れると、染料の独特な香りが漂う大きな作業場が広がる。展示されているのは、東京染小紋と江戸更紗が施された商品。ネクタイやバックに施された文様は繊細で、思わずため息が出てしまうほど美しい。
そんな東京染小紋と江戸更紗を制作しているのは、日本でも数少ない伝統工芸士の資格をもつ富田篤さんだ。富田染工芸がここ、早稲田の地で創業したのは大正3年(1914年)のこと。以来、100年以上にわたって、大都会東京の真ん中で伝統の技を継承してきた。
東京染小紋は型紙を使用し、生地にのりをつけて柄をつけたのちに地色を染めて柄を染め抜く技法を用いる。一方、江戸更紗は型紙を使用するのは同じだが、刷毛を使って直接生地に色をすりこんでいく。近くによると柄が浮かび上がる染小紋に対し、江戸更紗は多くの色を使ってグラデーションを作り出すことが出来るのが特徴だ。古典柄から、モダンなものまで、幅広い種類がある。  富田染工芸の5代目に当たり、「小さいころから職人さんと一緒に暮らし、できる仕事はやっていた」富田さんにとって、工場を継ぐことは自然な成り行きだった。気づけば、父と同じ、伝統工芸士の道を歩んでいた。しかし、日本の服飾文化が時代とともに変わることで、工場の在り方は変化してきたという。それは、日本人の着物離れだ。「だんだんみんなが着付けが出来なくなってしまった。自分で着られないものをみんな買おうとはしない。すると、商品が売れないのだから仕事が少なくなってしまったのです。」
そこで、着物だけでなく、様々な小物に染小紋を施した商品や、のれんを制作していくようになる。着物を着なくなった現代の人でも、手軽に触れることができるようになったことで、現在でも多くの人が体験に訪れる。  そんな中、大きな出来事が起こる。2020年、東京オリンピックのオリジナル商品を制作してほしい、という依頼が来たのだ。東京2020公式オリジナル商品「ジャパンプレミアム」の第一弾として、東京オリンピックの「市松模様」のエンブレム作者・野老朝雄氏がデザインした絹の風呂敷を作成した。エンブレムが白抜きされたデザインの風呂敷は、小池百合子東京都知事がスカーフとして身に着け、発売されるなり大好評を博した。すべて手作りであること、一回につき45枚程度しか作れないこともあり、受注が追いつかなくなる事態にまで発展。現在では完全受注生産になっている。「小池都知事にお会いすることがあって、そのときにスカーフとしても使えると説明したら実際に使ってくださったのです。最初に作った分が全部売れきれたので、こんな人気になるとはと驚きました。今までで一番印象深い出来事ですね」と振り返る。
工場には、外国人も体験に訪れる。「パンフレットに英語を載せています。職人たちに英語を今更教えるのも大変なので、パンフレットを見ながら説明しています。興味を持ってくれる人がいるのはうれしいなと思います」。今後は染色を生かした小物づくりに取り組み、もっと着物にも興味を持ってもらえるように活動していきたいと語る。「会社のホームページはありません。しかし、体験してくれた人が『こういうのやったよ』と、SNSなどで発信していってくれることで興味を持ってもらえるのではないかと思います」。
2020年にはオリンピックが開催される。これからたくさんの外国人が来日することも予想されるが、「(商品を好きになって)自分の国に持ち帰ってくれると嬉しいと思います」と、富田さんは笑顔を見せた。

東京2020公式オリジナル商品「ジャパンプレミアム」東京染小紋風呂敷クロス製造過程
https://www.youtube.com/watch?v=zRA0U_XmqY8

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