大学スポーツ改革について
馳浩
Hiroshi Hase
衆議院議員
前文部科学大臣
――大学スポーツ改革について
大学は教育と研究の場であり、社会のニーズに対して必要な人材を育成することが求められている。専門性の追求やトップランナーの育成も重要だが、体育の授業も含めて、定期的にスポーツに親しめる環境を提供することも大学の務めだ。
2点目は、大学スポーツのインテグリティ。自主的な運営に委ねるだけでなく、大学当局の責任の下でガバナンス・コンプライアンス・ディスクロージャーを確立し、学生の健康管理・安全管理・学業管理・キャリア支援に取り組んでいただきたい。
3点目は人材供給。トップアスリートだけでなく、大学は様々な支援スタッフ(監督・コーチ・マネジャー・トレーナー・管理栄養士など)に関する人材の宝庫であり、JOCや競技連盟と連携して、大学が気持ちよく人材提供できるような橋渡しを果たしたい。
4点目が産業化。大学スポーツのコンテンツを活用することで新たな価値を創出できる。そこで発生した収益を明確化・透明化して教育・研究活動に還元すれば良い。そのためには、専従のマネジメントスタッフも必要になるだろう。
――障がい者スポーツについて
パラリンピックは身体障がい者の大会だが、聴覚障がい者のデフリンピックや知的障がい者のためのスペシャルオリンピックもある。スポーツには、交流・協働・共同という大きな役割がある。そこで目指すのは、ユニファイド。同じルールの下で、障がい者も健常者も、若者も高齢者も共に楽しめる。交流から連帯が生まれてくるのが最高の価値観。ユニファイドの観点からはメダルは関係ない。お互いに一つの土俵で理解し合い、補い合い、支え合う。
――日本スポーツ産業学会への期待
リサーチですよ。常にリサーチ。例えば、学童保育とスポーツ、幼稚園・保育所におけるスポーツ、町内会や職場でのスポーツなど、あらゆるレベルにおいてどのようにスポーツが行われているのかということを、収支分析も含めて継続的なビッグデータとして収集・分析いただくことを、学会には期待したい。また、いろいろなテーマについて、学生にも論文をどんどん書かせてほしい。現場の声とか実態を教えていただいて政策に転換していくのが私たちの仕事ですから。